アンのように生きる・・・(老育)

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かけがえのない日本の片隅からの発信をライフワークとして、今は老いていくにも楽しい時間を作り出すことを考えています。

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カナダで感じるパリ

ケヴェック最終日の午後はフリータイムになったので、アウトラインを教えられた街を自分なりにひとりで歩いてみた。友人は買いたいものがあるらしく、2時間ほどを別行動した。
先程地上高いところから眺めたセントローレンス川を すぐ近くまで行って、冷たい空気の中でしばし見入っていた。

氷が大きく割れた形で川下に向かって川はゆったりと流れていた。
この光景はちょっと怖さもあったのか、今でもはっきりと思い出せる。
川の水量も大変に多かった。そして何よりカナダの広大な土地を知らせるように、この小さな町に沿って流れる川は近くで見ると河口のように大きく広がって見えた。

ひとりでも気楽に歩けるのは、斜面を上るように螺旋状に高い方に向かっていけば、宿泊しているシャトーフロントナックホテルに戻れるからだ。
途中の店は1年中クリスマスのようなかわいいウインドウのある店もたくさんあった。

当時生まれたばかりの甥のためのみやげ物ばかりが目につく。
寒いせいかウインドウショッピングする人はまばらである。
勇気を出して主人に頼まれた皮のジャケットを探すために店内に入り、会話すると年配の人はやはり「ボンジュール」とフランス語で声をかけてくる。

片言だがフランス語の音が好きな私には嬉しいことだった。
大体の候補を決めて、あとで友人にも見てもらって買おうと思っていた。

面白い店主で、「従業員の中に私の主人と同じような体型の者はいないか?」
と聞いてくれて
その人をモデルにして着用してもらえたのでいいものがみつかった。

友人も思ったような買い物ができたと喜んで戻ってきた。
銀製品もいいものがあったようだ。
互いの買ったものを見せ合って、またそれぞれの店を冷やかして歩いた。
愉しい買い物だった。

この街は「美しくあらねばならない・・私たちの街は・・フランスの雰囲気を失ってはならぬ」と語るようにそこにあった。

その夜は友人が予約してくれた、小さなフランス料理店で、美しいディナーをとった。
それほど高くなくて、優しいマダムがきびきびと給仕してくれて、静かな夜をその土地のカップルたちが楽しむような、そんなレストランだった。

私が初めてパリのペンフレンドに会いにいった学生時代に、つれていってもらった
パンタグリュエルという小さなパリのエッフェル搭の近くの フランス料理店のことを思い出した。

その夜、一回入った客はゆっくりとそのテーブルで閉店までいていいのだと・・ここは慌しく客を回転させないのだという、フランス人の気質を思い出した。

アーティチョーク(ミモザ)のサラダ、コキーユサンジャック(帆立貝)のオードブル、川魚の香草焼きそして見事な盛り合わせのデザート。

外国のレストランで、気楽に日本語で女同士のおしゃべりを楽しみつつ、フルコースのフランス料理は私たち二人を満たしていく。

街づくりにこだわりを見せながら旅人を優しく受け入れる。
たった2日間の短い旅の中で、緊張感からときほぐしてくれたケヴェックという街に 「住む」ということへの大切な役割を知らされたように思った。

私には生まれた街があり、育った街があり、新しい生活を始めてなお、営み続ける町がある。

定住して1番長い町には誇りを持ちたい。
そこを離れるたびに、なつかしく思い起こせるようなわが町を持ちたい。

それは「青い鳥」のように既に手にしていることもあるだろう。
アンもまたプリンスエドワード島に住んでそこを愛して止まなかった。

そしてまたこのケヴェックという街に出会って、そんな幸せを感じられた。

「住んでいる」という進行形が街への愛着を作り出す。

「日本へ帰ったら、まず我が家のテラスの花に水をやり、肥料を与えよう。」

そんなことをふと思った。
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                                      1995年カナダ紀行より

こんなブログ村のカテゴリーを見つけてしまいました。
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Commented by さりすけ at 2008-12-16 01:21 x
ああ・・・なんて美味しそうな料理。そんな街だと素敵なアンティークや朝市もあるのかなぁ・・・フランスの香りがするレストランや素敵なおかみに惹かれ、やはり行ってみたくなりました。日本にいる母が「今度はみんなでカナダに行こうよ」と言ってるし、ケベックも是非候補に入れておきたく思います。
Commented at 2008-12-16 07:45 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by akageno-ann at 2008-12-16 14:24
さりちゃん、とってもありがとう!
このレストラン・・友人の話によると今はなくなってしまったようですが、
でもこの街の良さはそのままだそうです。
冬は本当に雪道ですが、私も違う季節にカナダを再訪したいです。
おかあさまとカナダ・・いいなあ・・お元気なお母さんとたくさん
良い旅をしてください!
Commented by akageno-ann at 2008-12-16 14:25
鍵コメさん・・カテゴリーへの賛同ありがとう
頑張りたいです・・
Commented at 2008-12-16 19:37
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2008-12-16 19:39
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2008-12-17 04:45
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2008-12-17 07:25
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Commented at 2008-12-17 12:22
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Commented by akageno-ann at 2008-12-17 14:17
鍵コメさんのお言葉に感謝します。
Commented at 2008-12-17 15:30
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 加代子 at 2008-12-17 16:12 x
ケヴェックに行かれた事があるのですね^^
アンの故郷、カナダには一度も行った事がないので
いつかは!と思ってます。
色々楽しい想い出があって とても素敵な旅だったのですね♪
フランス語がおできになるのね^^
私は何年もフランス語圏に住んでますが さっぱりです^^;
Commented by akageno-ann at 2008-12-17 16:46
鍵コメさん・・・さっそく遊びに行きました。
Commented by akageno-ann at 2008-12-17 16:47
加代子さん・・ようこそ・・とんでもないんですが・・フランス語
ただあの響きが大好きなのと、学生の頃芹沢光治良氏の小説が
大好きだったので・・パリに憧れたのです・・
by akageno-ann | 2008-12-15 23:53 | エッセ- | Trackback | Comments(14)