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11月になりました

いつもこちらのブログを気にかけてくださる友人たちに感謝をしつつ、「ひまわりのような人」の続編を贈ります。

 『コスモスのように』

その1

 堀田恵子は病の淵から静かに蘇ってきた。

始めは原因不明のように思われた彼女の無気力も、全身を襲った疲労からくる心臓機能の低下、それに加えて小腸からの出血反応が確認されて、病院側でも絶対安静を宣告した。

そのことが恵子をしっかりと休養させて、病状は少しずつではあったが回復に向かった。

その間に変化したのは恵子を囲む家族の気持ちだった。

一番大きく恵子に寄り添ったのはやはり夫紘一郎だった。

紘一郎は決して横暴であったり我がままな人間ではない。

エレベーター会社の営業部長として充実した日々を送っていた。

家庭は妻の恵子が細やかに気を遣ってそれなりに良い家庭を築きあげてきていた。

3人の子供たちもそれぞれに独立に向かい、様々な困難もありながらも穏やかな日々を過ごしているようだったのだ。

だが家族の異変は突然訪れるものだと、思い知った。

仕事を辞めて妻を看病することは これからの家族を支える身にとってはできないことだ。

仕事をしっかりと勤めながら、妻への思いを篤くする、それは不可能ではない、と紘一郎は信じていた。

その思いを一番受け止めて、自分のできることをまっすぐにして行こうと考えてくれたのは娘の沙耶だった。

紘一郎の部下の中村との年齢差のある恋愛に破れながらも彼女はそのことを自分と一緒に悩み苦しんでくれた母親の恵子の存在で立ち直っていったことを十分にわかっていた。


二人の息子は、こういうときに手伝えるのは女の子だとつくづく感じ、言い様のない不甲斐なさを感じつつも父親の紘一郎に奨められて、病院へ母恵子を見舞うことだけはできる限り頻繁に行っていた。

ベッドから起き上がれないでいた母親と静かに語り合えたのも、この時だけなのではないか・・と

元気を回復しつつある母を見て、心からほっとしているのもこの二人の息子たちだったかもしれない。

つづく
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コスモスのスケッチ画はブログの友人 CHILさんの作品を拝借しています。

 ☆ これからまた作品を書かせていただきます。

   どうぞ気楽に覗いてください。よろしくお願いします。
                                              Y.N.

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by akageno-ann | 2009-11-01 16:00 | 小説 | Trackback | Comments(6)

Commented at 2009-11-02 07:26
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by geko at 2009-11-02 15:18 x
待っていました!
コスモスのように・・・
これから、どんな展開になるのかとても楽しみです。
うちの三人の息子も私が入院したら、
こんなふうに病院に来てくれるかしら?なんて思いながら読みました^^
Commented by ka-chan-anone at 2009-11-02 21:24
ついに「コスモスのように」・・・始まったのですね!
楽しみにしています。

息子と娘、支え方は違うけど、
やっぱり親にとってどちらもかけがえのない存在、
そして我が子の成長を感じることができるのでしょうね。

うちも父が倒れた時、私と兄の役目は全く違いました(^^)
Commented by crystal_sky3 at 2009-11-03 03:43
annさん、こんにちは♪
連載、始まったのですね^^
空気のような存在として一家を切り盛りするのは、やはり妻ですものね。
病気になって家族はその存在の大きさを改めて感じるのではないでしょうか。
こういうときみんながそれぞれ団結して助け合ってくれるときほど嬉しいものはないですね。
CHILさんの作品、とっても素敵ですね♪
爽やかな風と土の香がしてきました♪
Commented by panipopo at 2009-11-03 19:15 x
恵子さんの家族にとっても、お母さんの大切さが改めてわかったんでしょうね。
そういうことってありますよね。
そして、それから生まれるより強い絆がステキだなって思いました。
息子さんたちの優しい面もうれしいですね。
Commented by akageno-ann at 2009-11-03 23:56
皆様、新しい小説への激励に心より感謝しています。
ボツボツとやって行きます。
どうぞよろしくお願いします。
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