アンのように生きる・・・(老育)

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かけがえのない日本の片隅からの発信をライフワークとして、今は老いていくにも楽しい時間を作り出すことを考えています。

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2008年 08月 27日 ( 1 )

夜間飛行

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久しぶりの夜間飛行・・最終便で高知より羽田に戻りました。
高知も雨、東京も雨・・フライトは揺れましたが・・なんと美しい窓からの景色
隣の方と・・思わず「きれいですねえ」と
夜景を堪能しました。

そういえばデリー時代の飛行は殆どが夜間飛行・・
でも、その光の少なさに驚き、慣れていったように思います。

小説はちょっと寂しい方向です。

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第198章

高知で病気療養中の北川怜子(さとこ)は抗がん剤の投与に苦しんでいた。

結局怜子は再発していたのだ。

そのことをインドの美沙に話すかどうか、まだ決めかねていた。

美沙はまもなく日本に帰国する。

恐らく帰国と同時に怜子に会いに来ることだろう。

その時に自分はここに存在しているだろうか?

けっして大げさではなく、看護士としての経験から自分の死期は悟っていた。

ただ夫には医師は告げているのだろうか?

あまりはっきり自分の余命を親族に言わないように医師に頼んではあるが・・

「それはあまりに珍しいケースだ。」

と知り合いの医師ではあったが、苦渋の顔色をしていた。

怜子はここまでよくもっていると、自分ではわかっていた。

きっとデリーでの闘病生活はよかったのだ、そう思えた。

心愉しい思い出がたくさんできた。

美沙というかけがえのない友人もでき、彼女とのデリーの二年間の思い出は

人生の中で大変大きな比重をもっていた。

怜子はふと

「片山夫妻は仲良くやっているかしら?」

と、夫の北川に話を向けた。

「なんで?彼らはうまくやっているだろう?」

そう呑気に北川が応えた。

「そうかなあ、私はちょっと二人には危なっかしいものを感じるけど」

「どっちが?」

北川が興味をもってきた。

「美沙ちゃんの魅力を片山先生はもう一つわかってあげてないでしょう。」

北川はほんの少し懐かしそうにして

「美沙さんが可愛そうだってそういえばお前は言ってたな。」

「そう、あんまりなんでも一生懸命するのに、空振りしてたもの、ときどき」

その表現はあたっていると北川は怜子の観察力に感心するのだ。

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不思議なもので地球のどこかである人のことを思うと、不思議とその相手に思いは通じるものであった。

美沙は、その日怜子にデリーから国際電話をかけた。

怜子は嬉しくて美沙の風邪をひいたような様子にも心配をしたが、

電話してくれる優しさに感動していた。

だからただ、

「待ってるからね~~~・・・早く会いにきてねえ」

と元気よく電話口に語った。

美沙も

「はい、帰国したら一番に行きますよ。」

と約束した。

あと一つ冬休みを越えると、いよいよ帰国の準備だった。

平田よう子は最後は仲良く一緒に日本に帰ろうと言ってきたから

また帰国の引越し荷物のことなど相談したいのだろうと想像もついた。

『そう、これで良いのだ。終局に向けて様々なことを清算し、
互いに許しあうことも必要だ。』

美沙はそんなことを呟いていた。

怜子がデリーから日本への最後の夜間飛行の時に、声を立てずに泪を流して

いた姿を思い出した。

彼女はデリーを飛び立って、全てを良い思いでとして持ち帰っていたはずだ。

自分も怜子に習うように、そんなデリーの終末を過ごして行きたい。

そして怜子に会って,思い出を語ろう。

そう切に願っていた。

だが、運命はどれほどの二人の時間を残しているのかはまだ

定かではなかった。

翔一郎もまたネパールで様々に思いを馳せていた・・・・

                                          つづき
by akageno-ann | 2008-08-27 00:00 | 小説 | Trackback | Comments(14)