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父と私

第1章 その4

半身不随になってしまった父と私の間は、今とても親しくなった。

うちは祖母、母、私と3人が女だから、父は元気な時はもしかしたら自分の居場所がなかったかもしれなかった・・と最近思う!

私が中学生になったら、一人の女性として扱ってくれてたみたいだから、余計にそんな疎外感も感じていたかもしれない。

3人の親子としては友達みたいなところもあったけれど、おばあちゃんの存在は大きかった。

母はとても気を遣っていたが、そのことが おばあちゃんにまっすぐは届いていなかった。

子供ながらそういうことは何となく敏感に感ずるものだ。

おばあちゃんが私を可愛がれば可愛がるほど、母は孤独感を味わったかもしれない。

でも、私はそんなことはあまり気にしないで、3人に対して平等につきあっていた。

平等のつもりだった。

人間の付き合いは、家族から難しい・・・

そう思うようになったのは小学校5年生のときだった。

急におばあちゃんと母の関係が見えてきてしまった。

そんなとき、『赤毛のアン』をクラスの滝沢さんに紹介された。

滝沢さんはものすごい美人で、クラスの男の子たちの人気を独り占めしていた。

女の私がみてもなんというか・・美人だった。

ビビアン・リーに似ていた。

ビビアン・リーが演じるスカーレット・オハラに似ているんだ、とあとになってわかった。

一人の女の子が孤児院から年老いた兄妹の家にもらわれていく話だ。

それを読みながらも人間の関係は家族から結構難しいものだということを知った。

中学校に入って、谷崎潤一郎の『細雪』を読んだら、四姉妹の結構難しい関係がわかってきた。

そんな中で、私は父がもう少しおばあちゃんと母の仲を取り持てばいいのになあ・・と思った。

父は夏休みという教員が生徒が学校にいない分、ちょっとだけ楽になる時期も、あまり家にいようとしなかった。

夏の旅行も学校行事の殆どについて行ってしまって、家族旅行は田舎の高知に2泊で私を連れていったことくらいだ。

それもおばあちゃんの命令みたいだった。

母は、おばあちゃんを一人にはできないといって、家に残った。

旅行中、私は父と過ごすことは楽しかった。
本来の呑気さで暮らす父が好きだった。

そう、その夏の旅が元気な父との最後のものになってしまったのだ。

つづく

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by akageno-ann | 2009-01-03 23:03 | 小説 | Trackback | Comments(16)

Commented by ba-chama at 2009-01-03 23:20 x
私と祖母は曾祖母の離れを借りて暮らしていました。
曾祖母と彼女の弟夫婦が母屋に住み、お風呂やお手洗いは共同でしたし、それなりに家族でしたから もちろん 毎日のかかわりあいもあり、そんな中 いろんな問題を見てきました。
小学校も高年になるとだんだんとそんなことに口を出し始めた自分を思い出しました。
高知が出てくるんですね。楽しみです。
Commented at 2009-01-04 12:54 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ann at 2009-01-04 19:58 x
ba-chama 誰にも本当に歴史があるのですね。
子供というのは本当に吸収する力がしっかりあり、
いろんなことを感じ、わかっているのですよね!
その時代のことを書いてくださってありがとうございました。
Commented by ann at 2009-01-04 19:59 x
鍵コメさん・・すごく心に来ました。
共感に感謝します。
Commented by ka-chan-anone at 2009-01-04 21:24
嫁と姑の関係、永遠に難しい関係なのでしょうね。
一緒に暮らすとなると・・・。
「どんなに良い人同士でも嫁と姑が同じ屋根の下で生活したらうまくいかないもの・・・」これは私の夫の母(つまり私にとってのお姑)の言葉です(^^;)
私もそう思います。

中学時代の私はお父さんとは口を利かない可愛くない娘でした。
父と話すようになったのは、成人してそして父が倒れてから・・・。
父が脳梗塞で得たものは家族の時間でした。

この小説を拝見しながら
私も父のほうのブログを更新できるように頑張ります。

今年も楽しみにしています(^^)
Commented by akageno-ann at 2009-01-04 22:16
そうなのかあ・・chilちゃん・・びっくりしてる!
父と娘ってすごくしゃべるかしゃべらないか・・二つに
分かれるかもしれないわね。
う~~ん・・すごい感想ありがとう
そうお父さまのブログ楽しみにしてる
これは偶然のようだけど、私の深層心理の中に
あったのかなあ??
不思議だなあ・・ブログって・・今年どうぞよろしく!
Commented by crystal_sky3 at 2009-01-05 10:42
こんにちは♪
うちの実家は父方の兄弟に両方から囲まれています。
それはもう母はとっても苦労してきました。私が日本にいた頃は、
父も何も言えずにいたことがとっても歯がゆく、私はいつでも母の
味方でした。今でこそ父も母の肩を持つようになりましたが、
頑固にもなってきました^^;
成長の段階でふと人間関係が見えてくるときってありますね。
私はいまだに母の話を電話口で聞きながら、いつまでもそんな
母との時間が続いたらいいな・・・と願っています。
Commented by fmutu at 2009-01-05 12:19
父親と楽しく旅が出来る事は幸せですね^v^
私はなんか。。。父親といると息が詰まりそうですね><

人間関係は一生ついてきますね。。。
日々修行だな~~と思います。

本を読むことで世界が広がりますね♪
Commented by akageno-ann at 2009-01-05 17:12
クリスタルさん、本当に母との時間が長く続いてほしいと思う
この頃です。電話で繋がるというのは、比較的近くにいても
同じようです。母の苦労、私は亡くなった姑の苦労がすごく
わかるんです。そういうことを少し織り交ぜていきたく思ってます。
率直な感想にとても感動してます。ありがとう!
Commented by akageno-ann at 2009-01-05 17:14
fmutuさん、私も嫁ぐ前まで父との関係は息詰まりそうでした・・
しかし今は父が私と出かけたがるようになりました。
なんだかこれまでを取りもどすように・・
人間関係は変化させたいというのが私の考えなんです。
相手が変化しなかったらこちらで変化球を投げる・・
そんな風にしていきたい・・と思ってはいますが・・
Commented by panipopo at 2009-01-05 17:42 x
annさん、新しいお話が始まったんですね。
この最初から読ませてもらいました。
私は家族関係が案外と希薄(10代途中からすでにアメリカ生活だったし)な中で生活してきたので、こうやって父親と仲の良い娘さんとかがうらやましくなります。そして、興味津々!
お母さんとおばあちゃんの関係も楽しみです☆

ではでは今日は応援がてら、ごあいさつまで。
Commented by akkunne at 2009-01-05 19:22
お今晩はー
挨拶が遅れてごめんなさいねー
あらためて明けましておめでとう~御座います。
今年も宜しくお願い致します。沢山の素敵な作品
を作ってくらさいねー
Commented by akageno-ann at 2009-01-05 21:35
panipopoちゃん、読んでくださってありがとう!
早くからご両親から離れて暮らしてあなたのように
素敵な人生・・それもとっても興味津々です!
私の想像つかないところだなあ・・応援ありがとう
Commented by akageno-ann at 2009-01-05 21:46
akkunneさん コメントありがとう~~
今年もどうぞよろしく・・あなたの四季の北海道
素晴らしいわア
Commented by cacaopon at 2009-01-07 20:19 x
♪ 女同士だから余計に母親とおばあちゃんの関係が見えてくるのかもしれないですね。

ビビアン・リーかあ。あの強気でまっすぐな視線を目の当たりにすると、私はきっと目線をそらせてしまうかも・・・
気の小さいほうなので、憧れもありますが、苦手だったりもします。
んふふふ~♪ でも、「細雪」の世界の中では末っ子のコイサンが一番好きなキャラクターかなあ。
Commented by akageno-ann at 2009-01-22 09:17
cacaoponさん、お返事遅くなりました。
ビビアンリー・・の目・・そして鼻が私には強烈な印象です。
細雪のこいさん・・好きです・・私も!
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