めい子との再会
第2章 その9
理子は大人たちの側面をこの父翔一郎の病によって、急に深く見てしまっていたような気がしていた。
大人の気持ちが意外に子供っぽい面もあるようで、不思議な気がしていた。
母美沙は父のことを諦めているわけではないが、あまり回復に対して急いでいる様子も、リハビリを強要して頑張らせようとする気持ちも次第に薄らいでいるようにも感じられることがままあった。
そんな母をみるにつけ、理子は
『私が頑張らないといけないのだ』と思うようになった。
だから理子は私立中から公立高校へ受験して親の負担を軽くしていこうとしていた自分の方向を少し変更した。
理子の入った私立中学校は大学の付属だった。
理子が行きたい、と思っていた大学なのだ。
大学に行けないとしても、ここで大きく方向転換して、自分の精神がそちらの方にエネルギーをとられていると、父のリハビリにつきあってあげる時間が減る、と感じたのだ。
そんなことで悩んでいる日々に、ある出会いがあった。
その日、母は見舞い客がある、と言って、約束の時間の少し前に父の病室に私と入っていた。
約束の3時に一人の若い女性が現れた。母は彼女を見定めると
「めい子ちゃんね。大きくなられて・・美しいお嬢さんになられたわねえ。」
と懐かしそうに近寄った。
二人は殆どハグするようにして、再会を喜んだ。
めい子と呼ばれたその人はすらりとした細い体に清楚なワンピースを着て腕には小さな花束を抱えていた。その花を美沙に差し出して
「ご無沙汰しています。片山のおじ様がご病気になられたと聞いて、いてもたってもいられずにお電話をしてしまいました。ご迷惑だったらご免なさい。」
そう真剣なまなざしで美沙をみつめて、それから理子のほうをみた。
「こんにちは。平田めい子といいます。お父さまとお母様にはインドでお世話になったんです。」
彼女はそう理子に挨拶した。
平田めい子、理子は初めて聞く名前だった。
つづく
「小夏庵」ものぞいてくださいね。
by akageno-ann | 2009-02-03 20:38 | 小説 | Trackback | Comments(11)
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crystal_sky3 at 2009-02-03 23:56
こんばんは♪
ここのところ読み逃げばっかりしちゃってすみませんm(_ _)m
美沙さんも精神的な重圧に耐えながら頑張っているんですね。
平田めい子さん、あの美沙さんが可愛がっていた平田さんちの
お嬢さんですよね。時の流れを感じます。
インドで子供時代をすごした生徒さんたちは、もう立派な大人なんですもんね・・・。
それぞれ成長して、どんな大人になったんだろう・・・。
ここのところ読み逃げばっかりしちゃってすみませんm(_ _)m
美沙さんも精神的な重圧に耐えながら頑張っているんですね。
平田めい子さん、あの美沙さんが可愛がっていた平田さんちの
お嬢さんですよね。時の流れを感じます。
インドで子供時代をすごした生徒さんたちは、もう立派な大人なんですもんね・・・。
それぞれ成長して、どんな大人になったんだろう・・・。
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akageno-ann at 2009-02-04 09:28
そうなの・・クリスタルさん・・よく覚えていてくださった
平田さんちのめい子ちゃん・・ちいさなときに知ってるお子さんが成長されると感動しますよね・・
美沙がとても可愛がっていたこのお嬢さんがいいキャラクターを演じてくれるはずです・・読んでくださるだけで嬉しいのよ
そして今日はまたこうしてコメント本当にありがとう!
平田さんちのめい子ちゃん・・ちいさなときに知ってるお子さんが成長されると感動しますよね・・
美沙がとても可愛がっていたこのお嬢さんがいいキャラクターを演じてくれるはずです・・読んでくださるだけで嬉しいのよ
そして今日はまたこうしてコメント本当にありがとう!
「大人の気持ちが意外に子供っぽい面もあるようで、不思議な気がしていた。」
この感覚、私も覚えています。ずっと親の考えが絶対だったのに、
中学生の頃に「あれ?親って完璧じゃないんじゃん」みたいな・・・。
大人への階段の一歩でしょうか(^^)
理子ちゃんの場合、父親の病気や見舞い客を通してだし、感受性の強い子だから、もっと大人に幻滅してしまうこともあるかもしれないけど・・・
でもでも理子よりちょっと大人の平田めい子さんのキャラクターがどのように絡んでくるのか、とっても楽しみです☆母親似ではないのかしら?うふふ(笑)
この感覚、私も覚えています。ずっと親の考えが絶対だったのに、
中学生の頃に「あれ?親って完璧じゃないんじゃん」みたいな・・・。
大人への階段の一歩でしょうか(^^)
理子ちゃんの場合、父親の病気や見舞い客を通してだし、感受性の強い子だから、もっと大人に幻滅してしまうこともあるかもしれないけど・・・
でもでも理子よりちょっと大人の平田めい子さんのキャラクターがどのように絡んでくるのか、とっても楽しみです☆母親似ではないのかしら?うふふ(笑)
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at 2009-02-05 09:02
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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akageno-ann at 2009-02-05 09:31
CHILちゃん・・そうでしょう?私もそう気づいた時
驚きよりもあきれたことを覚えています。
そうして自分はどんな大人になったかたいうと・・
やっぱり子供の時と同じようだったり・・
めい子の存在は大きいです。
聡明な子は頼りになりますね・・
驚きよりもあきれたことを覚えています。
そうして自分はどんな大人になったかたいうと・・
やっぱり子供の時と同じようだったり・・
めい子の存在は大きいです。
聡明な子は頼りになりますね・・
annさん、こんにちわ。
ですよね、「大人の気持ちが意外に子供っぽい」って私も賛成です。それにくらべて、理子ちゃんは鋭い観察力をもった子供のようですね。こういう経験は、子供を早く自立させるのでしょうね。
インドの物語で、感情移入するほどになってしまった人がいろいろでてくるのが楽しいです。続きもたのしみです♪。
ですよね、「大人の気持ちが意外に子供っぽい」って私も賛成です。それにくらべて、理子ちゃんは鋭い観察力をもった子供のようですね。こういう経験は、子供を早く自立させるのでしょうね。
インドの物語で、感情移入するほどになってしまった人がいろいろでてくるのが楽しいです。続きもたのしみです♪。
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panipopo
at 2009-02-05 17:50
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ann姉さん、私も思春期にはそんなふうに思えたし、今でも外見はだんだん年取っていくけれど、中身は幼稚なままというか本質的なところは小さい時から変わってないとつくづくと思います^-^;
平田さんのお嬢ちゃんが出て来て。。。これからどんなことになるのかしら!? 理子ちゃんの健気な態度にはとっても頭が下がりました。きっと彼女なりの成長や悟りがあるんでしょうね。とっても微笑ましく、そして応援してあげたい気持ちになります!^-^
平田さんのお嬢ちゃんが出て来て。。。これからどんなことになるのかしら!? 理子ちゃんの健気な態度にはとっても頭が下がりました。きっと彼女なりの成長や悟りがあるんでしょうね。とっても微笑ましく、そして応援してあげたい気持ちになります!^-^
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ann
at 2009-02-05 21:15
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ann
at 2009-02-05 21:18
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ぱにぽぽちゃん、共感してくれるの?
私もこの年にして・・まだ・・そう思うの 笑
めい子ちゃんがきっと理子に良い影響を与えてくれる
そのイメージがわいたらちょっと幸福感も出てきました。
人間関係は輪廻のようで、必ず成長があると思えます。
応援のお気持ちとてもうれしい・・
私もこの年にして・・まだ・・そう思うの 笑
めい子ちゃんがきっと理子に良い影響を与えてくれる
そのイメージがわいたらちょっと幸福感も出てきました。
人間関係は輪廻のようで、必ず成長があると思えます。
応援のお気持ちとてもうれしい・・
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akageno-ann at 2009-02-05 22:58