イタリアンレストランにて・・
第2章 その11
母はめい子さんという大学生と私を連れて銀座のイタリアンレストランに入った。
「めい子ちゃん、イタリアン好きよね・・小さいときだったけど、スパゲティをよく作って食べたわね。」
「はい、今でも大好きですよ。自分でも作りますし。でもこうしたレストランは久しぶりです。ご馳走になっていいんですね・・」
と、めい子さんは母にとても親しそうに語った。
若いウエイトレスはアジア系の人で、なんともいえないはにかんだ様子が優しげでよかった。
言葉少なで偉そうでなくて、私たちには気楽だった。
母がコースをとってくれて、最初にとてもきれいな前菜が一皿に盛られてきて、母が私たちに取り分けてくれた。
生ハムにアボカドがまかれていた。黒い細長い貝はムール貝だと教えてもらった。
牡蠣が生だったので、母は私たちに無理をしないように言った。
母は生牡蠣が苦手だった。
めい子さんが
「私大好きなので、いただきます。」
そういって母の分もたべていた。
この親しさは何なのだろう・・でもめい子さんはやさしい雰囲気で私に必ず声をかけてくれるから、私も愉しかった。
「理子、めい子ちゃんはね、インドで一番親しい小さなお友達なの。
よく遊びに来てくれたし、旅行もしたわね。」
「はい、でも母がちょっと自分勝手なところがあって・・・おば様と最後まで親しくできなかったんですよね。」
料理は前菜の続きのフルーツトマトの冷製パスタだった。
私は、二人の話を聞きながらも一生懸命そのスパゲティを口に運んでいた。
「めい子ちゃんはその頃はまだ小学1年生でしょう・・そんなことわかったの?」
「いいえ、多分それは母のその後の話からわかったと思います。
日本に帰ってから何度かおば様に会えたのに、そのあとずっとお会いできなくなって
どうして美沙おばさんに会わないの?って聞いたんです。」
私は母とめい子さんが長いこと会っていなかったことがわかった。
「ごめんなさいね。懐かしかったのよ。でも、大人というのは元の日本の暮らしにもどるとそのことで精一杯になってしまうのね。」
料理はスープになっていた。
「ミネストローネスープ・・私大好きです。」
そう、めい子が言った。
私はその名前をここで覚えた。大学生になるといろんなことを知っているのだなあ、と
感心していた。
「でも、一番の理由は母とおば様はあまり合わなかったのでしょう?」
そう問われて母は
「なんだろう・・私にはその頃子供がなかったし、お母さんの気持ちがもう一つわかっていなかったんだと思うの。」
「私は美沙おばさんが大好きだったから、とても寂しかったのを覚えています。
でもずっと誕生日にプレゼントを贈っていただいて、それは我が家にとってはとても嬉しいことでした。」
と、めい子さんは言った。プレゼント・・そういえば母は自分の誕生日の近くに
母と同じ誕生日の友人のお子さんがいる、と言って必ず女の子に相応しいものを選んでいた。
覚えているものの中に、オルゴールやクリスタルのピアノの置物などがあったのを思い出した。
「貴方と私の誕生日が同じだったなんて・・それはとても奇遇ですものね。」
そうだったのか・・・と、私は理解した。
「父からのメールで片山のおじさまのご病気を知りました。父は北川先生からご連絡をいただいたんだと言っていました。」
そうだったのか、インドの日本人学校で皆知り合いだったのだ、と私はやっとわかってきた。
料理は、魚介のグラタン仕立てという濃厚な味のものが運ばれてきた。
日ごろは食べたことのない、今夜は父の病気を信じられないような夜になった。
父は元気で家で待っているような錯覚をしていた。
そうであってほしかった。
つづく
「小夏庵」ものぞいてくださいね。
by akageno-ann | 2009-02-07 23:33 | 小説 | Trackback | Comments(7)
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
ムール貝やミネストローネ、
中学生の女の子が、少しずつ世界が広がっていく。
ちょっと年上のお姉さんに憧れて・・・。
なんだか私の好きな描写です♪
みんな女の子は、赤毛のアンのように、
素敵なレディを夢見ていくんでしょうね♪
中学生の女の子が、少しずつ世界が広がっていく。
ちょっと年上のお姉さんに憧れて・・・。
なんだか私の好きな描写です♪
みんな女の子は、赤毛のアンのように、
素敵なレディを夢見ていくんでしょうね♪
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♪ 大好きなごちそうばかり!!
私は 体質的に他人より牡蠣に当たりやすいみたいなのに 食べるのは大好きなんで 周りの者にいつもあきれられてます。
中学生から見た 大学生のお姉さんって 一番憧れの対象に
なりやすい年齢なのかも
ファッションの事や どんな本を読んでいるのかなど 関心ごとがたくさんでしょうね。
最近の女の子達は お化粧を始めるのも早いけど
やはり 大学生位にならないと お化粧もしっくり来ないですものね。
オルゴールやクリスタルのピアノのプレゼント
素敵なセレクト。
美沙さん。めい子さんの事大事に思われたんですね。
私は 体質的に他人より牡蠣に当たりやすいみたいなのに 食べるのは大好きなんで 周りの者にいつもあきれられてます。
中学生から見た 大学生のお姉さんって 一番憧れの対象に
なりやすい年齢なのかも
ファッションの事や どんな本を読んでいるのかなど 関心ごとがたくさんでしょうね。
最近の女の子達は お化粧を始めるのも早いけど
やはり 大学生位にならないと お化粧もしっくり来ないですものね。
オルゴールやクリスタルのピアノのプレゼント
素敵なセレクト。
美沙さん。めい子さんの事大事に思われたんですね。
CHILちゃん、子供の時に初めて食べるような食事のメニューは懐かしさと共によく覚えているものですね。
最近はあまりに食の豊富さに感動も少なくて、でも大切な食事は味わっておきたいと・・思っています。
りょんちゃんがお昼ごはんを気にしたイラスト・・かわいかったわあ
最近はあまりに食の豊富さに感動も少なくて、でも大切な食事は味わっておきたいと・・思っています。
りょんちゃんがお昼ごはんを気にしたイラスト・・かわいかったわあ
私も大人になってからあたるように・・食べすぎからなの・・
ショック・・今でも生はダメな体質になってます。
やはりそういう方いるのね・・中学生の頃の大学生はとても
憧れの対象ですね。
美沙とめい子は誕生日が同じという奇遇を大事にしています。
ショック・・今でも生はダメな体質になってます。
やはりそういう方いるのね・・中学生の頃の大学生はとても
憧れの対象ですね。
美沙とめい子は誕生日が同じという奇遇を大事にしています。
ann姉さん、こんにちは。
めい子さんと美沙さんの誕生日が一緒なのは、奇遇ですね。
だから、お互いに年代が違っても、お母様のよう子さんと疎遠であっても近しいのかもしれませんね。
理子ちゃんも、だんだんといろんなことを知り始める多感な年代に差し掛かって、これからたくさんのことを吸収していく時にめい子さんと知り合ったのは大変ラッキーだな、って思いました。
めい子さんと美沙さんの誕生日が一緒なのは、奇遇ですね。
だから、お互いに年代が違っても、お母様のよう子さんと疎遠であっても近しいのかもしれませんね。
理子ちゃんも、だんだんといろんなことを知り始める多感な年代に差し掛かって、これからたくさんのことを吸収していく時にめい子さんと知り合ったのは大変ラッキーだな、って思いました。
panipopoちゃん、こういう奇遇は運命を感じますよね
そしてときどきありうることですね・・私には同じ誕生日の友人の組み合わせ何組かあるんです・・年代を越えて親しくなる・・これもありですね・・理子の年代って興味関心もとっても強くて中学生って大好きなんです。
そしてときどきありうることですね・・私には同じ誕生日の友人の組み合わせ何組かあるんです・・年代を越えて親しくなる・・これもありですね・・理子の年代って興味関心もとっても強くて中学生って大好きなんです。


