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よう子とめい子

第2章 その12

理子はめい子の出現によってインドに住んでいたころの両親の暮らしが少しずつ見えてきていた。

一番衝撃だったのは母美沙はそこでいろいろな人に出会い、仲良くなったり、別れたりしていることだった。

教師としての美沙、理子の母親としての美沙はいつも比較的冷静で、あまり悩むこともなく坦々と生きているようにみえていたが、理子にとっては今までとはちがう母の姿をそこに見出していた。

めい子との話の中で彼女の母親との繫がりが今はほとんど切れているような様子が不思議だった。

めい子の母は平田よう子といって、インドのニューデリーで美沙が三年間を一緒に過ごした人であった。

理子が全く知らなかったのも当然で、理子が生まれてからの付き合いは殆どなかったようだ。
理子の誕生はその年の年賀状で知らせたが、特に平田家のほうから祝いのメッセージもなかった。

あまり付き合い方を知らないな、と美沙はそのときから気持ちが遠のいていた。

だが、めい子だけは誕生日にカードを贈ってきてくれるので美沙もまたささやかな贈り物をしていたのだ。

そのカードのやり取りがせめても繋がっていた二人の絆だった。

めい子はいつしかそのこともあまり母よう子に話さないようになっていたらしい。

小さな時であったが、ある日幼いめい子が父親の平田氏にぴったりくっついて離れなかったことがあった。

その様子をみてよう子は

「娘と私はこうして夫を取り合うことになるのね。」

と、母親の表現としてはちょっと意外なことを述べたことがあった。

つづく

小夏庵ものぞいてくださいね。

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by akageno-ann | 2009-02-09 16:01 | 小説 | Trackback | Comments(9)

Commented by fmutu at 2009-02-09 19:25
それから?それから?と気になるとこですね^v^
書き終えたのをアップされるんですか?その都度ですか?
私も、小説とか脚本とか書いてみたいと思いますが。。。
根気が><
後、丁寧さも><
勉強になりますm--m
Commented by akageno-ann at 2009-02-09 19:46
fmutuさん、貴方は素敵な作品かかれるでしょうね・・絵から感じます・・私は日によって違うのですが・・今日はちょっと途中ですね
ふと先は少し考え直したくて・・大体の筋は既に決まっているのですが、ネットの面白さは皆さんに感想を伺っているうちに気持ちが変わることがあるのです・・根気も読んでくださる方のお陰で着いてきますね・・私もとても勉強になってます。ありがとう
Commented at 2009-02-10 08:17 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by CHIL at 2009-02-10 15:55 x
何年も時が過ぎると
人は変わらないところと変わっていくところがありますよね。
よう子さんの変わらない部分、
・・・相変わらずな感じなのでしょうか(^^;)
架空の人物のはずなのに、めい子の話から
今はどんなふうなんだろうと思い巡らせてしまいます。
annさんの人物表現が細やかだからなんでしょうね(^^)
Commented by panipopo at 2009-02-10 20:34 x
めい子さんが気遣いの人間だとはよう子さんの娘さんとは思えないですね。^-^; よう子さんは自分の損得を常に考えて、そして自分が中心でないと生きていけない人間のようですものね。お父様似なんでしょうね、きっと。爆!

私も次はどうなるんだろうと、ワクワクしながら読んでますよ❤
Commented by akageno-ann at 2009-02-10 22:55
CHILちゃん、人は変わる・・変わっていく・・と思っている私です。
それがこの小説のコンセプトかも・・今はどんな風・・?
そう聞いてくれてありがとう・・書きたいです・・
Commented by akageno-ann at 2009-02-10 22:57
ぱにぽぽちゃん。今日のオペラのお菓子・・感動したわ・・いつにもまして・・今度このオペラを食べるとき・・リンクさせてね・・
子供って・・不思議ですよね・・似ているところもいっぱいあっても
やはりその人個人なんだって思い知ることがあります。
Commented by cacaopon at 2009-02-12 23:59 x
♪ 他人との距離のとり方 難しいです。

でも お互いに距離をおく事に決めたはずの 美沙さんとよう子さんの間で今もこうやって めい子ちゃんと言う つながりがあったなんて とっても面白いですね。


Commented by akageno-ann at 2009-02-13 07:49
cacaoponさん
ほんとうに・・距離は自然に近づいたり遠くなったり
難しいと、私も感じています。
めい子の存在・・救いです。
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