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合いの手・・・愛の手

第3章 その8

「美沙さん、あまり失礼なことを言ってはだめよ。」
そう姑の信子が業者相手に戦うような気持ちでいる美沙の会話に合いの手を入れるように口を挟んだ。

「こちらだって一生懸命考えてくださっているのよ。でも貴方はこれまで一心に翔一郎のことを考えてくれてたんだから、疲れたのだと思うの。まあゆっくりやりましょう。うちも人手はあるし、在宅介護の方も来て下さるし、大丈夫。」

美沙は救われていた。

業者の方もその家族の思いに心を動かされていた。

「いや、お話わかりました。 私たちも決して暴利をむさぼっているのではないのです。
ただ、ついかっこよく仕上げられたら・・とは考えてしまいます。ここは一つできるだけ安価でいい物を創るよう頑張りましょう。」

そう言って、帰って行った。

「お母さん、ありがとうござます。私少し過激でしたね。なんだかすごくイライラしてしまって・・」

美沙は恥ずかしげに信子に言った。

「いいえ、あなたの思っている通りよ。この時代に工務店の方だって少しでも儲けたいもの。
それに面倒なのよね・・こういうことって女には。あなたには本当に感謝しているわ。」

そう言って二人は涙ぐみつつ笑った。

家族は不幸な事を通して幸せを掴むこともあるのだ。

信子の合いの手は 愛の手になった。

つづく
合いの手・・・愛の手_c0155326_2253457.jpg

ブログひげじい~脳梗塞からの軌跡ひげじいさんの作品です。

 「ここに使われる絵や文章の無断転載は固くお断りいたします。
    よろしくお願いします。」

小夏庵ものぞいてくださいね。

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by akageno-ann | 2009-02-25 22:50 | 小説 | Trackback | Comments(13)

Commented by crystal_sky3 at 2009-02-25 23:47
あ!新しいお話がアップされてる~!^^
最後には家族の想いがしっかりと工務店の方に通じましたね。
美沙さんと信子さんが愛する夫、息子のために手を取り合って、
二人三脚する姿にじーんと来ました。
人生っていろんなことで学ばせてくれますね。
Commented by ba-chama at 2009-02-26 05:41 x
ありますよね
家族の不幸が 家族を強く結びつけること
思うんですよ こうして 災難を受けてしまう人は 何かの、誰かの 犠牲になって生きる機会を頂いていると、、。
犠牲になるって とっても 出来ないことです。
この世に生まれ 何かのために犠牲になることができたら それでひとつの大きな仕事のようなものが できたように感じます。
私は 自分のためばかりに生き過ぎています。
何かうまくいえませんが、、、。
Commented by panipopo at 2009-02-26 15:27 x
美沙さんも疲れが出て来る頃でしょうね。
それを優しい中庸な立場の言葉をかけられる信子さんの態度は立派ですね。
やはり年の功でしょうか? 
どちらも傷つかないような言葉をかけられるのは素晴らしいです。
日本人の思いやりってやはりすごいな、って思いますよ。

ひげじいさんの絵もとっても素晴らしくてここに来ることの楽しみでもあります。
Commented by CHIL at 2009-02-26 15:58 x
合いの手が愛の手に・・・。
家族っていいものなんだな~って、なんだかしみじみ思いました。
嫁と姑の関係って簡単にはいかないところがありそうですが、
こうやって一緒に同じ困難に向かえばつながりあう。
他人だけど家族。夫婦も、嫁姑も・・・。
一緒に闘って家族になるんですね(^^)
Commented by ann at 2009-02-27 07:30 x
コメントありがとうございます。
大切にします。pcの調子が悪く従妹のpcを
借りてます。
またゆっくりお返事し、続きを書かせていただきます。
スミマセン。
Commented by ann at 2009-02-27 23:28 x
クリスタルさん、続けて読んでいただいてありがたかったです。
どの場合も一人ではない、ということを伝えたかったです。
わかっていただき感謝します。
Commented by ann at 2009-02-27 23:30 x
Ba-chama、ありがとうございます。
どの経験も無駄にはならないし、そのとき不幸に思うことさえも
次第に良い方向に変化させる力を私たちは持っているのではないか、と感じています。
従妹も土佐の女のもつ明るさがあって、障害を持っても心は安らかなのに感動します。
Commented by ann at 2009-02-27 23:32 x
パニポポちゃん、信子のことやはり年をとっているということは
それだけ様々な経験を生かした言葉が出るんだなあ、と年配の人といて感じることがありました。そこのところに注目していただいてありがとう。ひげじいさんの絵は本当にすばらしくて、これからも時々に拝借したと思っています。
Commented by ann at 2009-02-27 23:34 x
CHILちゃん、そうなんですね。何かの問題を抱えて悲しみを共有するのは大切なことですね。それがなくて分かり合えればもっといいのだけれど、でも共有しようとする思いがあれば、必ず良い方向に行くと思います。
Commented at 2009-03-01 02:01 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by daikanyamamaria at 2009-03-01 21:37
annさん 、こんばんは☆

ミニマリアは、アンの物語に夢中です♪

心が晴れやかだと、すべてが良い方に向かって動き出すような気がします☆
そう3月の始まりですものね。。.☆*:.。.☆*†
Commented by akageno-ann at 2009-03-02 07:59
maria さんお嬢さんはアンに夢中・・とても嬉しい言葉です。
3月が素敵な春の光に満ち溢れますように。
Commented by cacaopon at 2009-03-09 23:52 x
♪ こういうとき 合わない二人であれば
大変な時こそ 余計にお互いを素直に受け入れられずに
反発してしまうことが多いと思うのです。

なのに 信子さんは 業者さん 美沙さん 
どちらの立場にも 角が立たないように 上手に治めてて

きっと 美沙さんの事 本当に感謝してるのでしょうね。
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