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理子の進学

第4章 その1

高校進学を控えて、理子はひたすら悩んでいた。
理子は私立の女子高にいて、大学の付属であったので、そのまま内部選考で進学はできる予定であった。

理子の父方の祖母信子は同居して、幼い理子の面倒をよく見ていたので、その可愛がりようは大変なものであった。

故に、理子が私立中学から、家庭の経済を考えて公立を受験することをずっと考えていると、知ったら、それはもう理子が不憫でし方がなくなるはずだった。

理子はそのことも感じていたのでずっと一人で悩んでいた。

そんな折に、父翔一郎を見舞ってくれた平田めい子が理子のよき理解者として相談にのってくれていた。

「理子ちゃん、今の学校は気に入ってないの?」

めい子は理子が親孝行のために公立に変わろうとしているのを感じていたのだ。

「父が病気になって私の方向は少し変わったと思います。絵が好きでずっとデザインの勉強をしたいと思ったけれど、学校の方の費用がすごくて。」

「お母さんに、大変だって言われたの?」

めい子は優しくきいた。

「ううん、祖母は全く大丈夫、って言ってくれて、でも母は貴方が変わりたいのならそれもいいかも・・」

めい子は笑いながら

「理子ちゃん、そう簡単に決めないで私もお母さんのおっしゃるように本当に貴方が変わりたいかどうか、考えた方がいいわ。だって辞めるのは簡単なの。そして元には戻れないんだもの。」

理子は自分の気持ちがはっきりしていないことを感じさせられた。

『自分はなんて幼稚なんだろう。めい子さんは自分の進む道をしっかり歩んでいるのだ。』

そう感じられてちょっと情けなかった。だがめい子はそんな理子もわかるように思えた。

「理子ちゃん、私も今の学校を選ぶには相当悩んだし、両親が外国に行くときに休学するかどうかも悩んだのよ。でも自分ひとりで続けることに決めました。もちろん学費も生活費も親に出してもらってるけど。だんだんに一人でやれるように就職も考えてるところなの。」

理子は一人っ子が決していやではなかったが、こうして姉のような存在がこの時ほど心強いと思えたことはなかった。

つづく

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法華経寺の絵
ブログひげじい~脳梗塞からの軌跡ひげじいさんの作品です。

 「ここに使われる絵や文章の無断転載は固くお断りいたします。
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by akageno-ann | 2009-03-04 07:39 | 小説 | Trackback | Comments(6)

Commented by fmutu at 2009-03-04 10:14
学校へ行かせていただいてるという思いで学ぶ姿は、美しいと思います。
気付けずに過ごしている人たち、たくさんいますね。

下の、更年期のお話ですが私も、体がついていかない時があります。。。
心と体はつながっているんですね。。。
Commented by ba-chama at 2009-03-04 13:12 x
若い頃に私にもこうして助言をくれる左記を見通していたいたような友人がいました。彼女はわたしと同い年でしたが、、。しっかりしていた。ただ 受けた助言を深く考えることすら 出来なかった私でした。
かなり子供でした。
Commented by akageno-ann at 2009-03-05 07:58
fmutuさん、学生時代のことを思い出したときに、年をとればとるほど、とてもその周辺の人々に感謝するようになりますね。
そしてもっとやっておくべきだった、という反省も。
更年期はいろいろな形であらわれますね。
私もいろいろ経験しました。おいおいに書きますね。
Commented by akageno-ann at 2009-03-05 07:59
ba-chama そうなんですよ、自分の子供だったことを気づくときがあります。そして未だ未分化なものもあると感じます。
いつもずっと成長できるようにも思います。感想にいつも感謝です。
Commented by cacaopon at 2009-03-10 00:30 x
♪ 今日 ちょっと早いお彼岸の供養に四天王寺へお参りにいってきてたんです。

で ひげじいさんの絵の中の五重塔がとても 気になっていたら
こちらは法隆寺のものだったのですね。
偶然にも 同じ聖徳太子の手がけたお寺だったなんて!!
と個人的なサプライズに一人喜んだりしています。

私 家族の事を考えて 大学の進学をあきらめ
働く事にした経験があるので 理子ちゃんの気持ち
とってもよくわかります。
でも 親は無理してでも 出来るだけ将来性のある道へと
自分で導きたいと思うものなんですよねえ。
何十年も経った今 ようやくその事に気付き始めた所です。
Commented by ann at 2009-03-11 09:17 x
聖徳太子・・・そうなのですね・・私も意識せずに載せさせて
いただきましたの、ありがたいコメントに感謝です。
そして共感にも・・
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