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夢の家の周辺

第4章 その5

『アンの夢の家』を読み進める美沙は若い頃にはアンとギルバートの新婚生活 
そしてミスコーネリアとジム船長という隣人との関わり、レスリー・ムア と オーエン・フォードとの恋に心を奪われたが、こうして読み返していくうちにレスリーの夫ディック・ムアの病状に関心をもった。

彼はもともとレスリーを略奪するように結婚し、わがままの限りを尽くしていたが、航海に出て行方知れずになっていた。しかしジム船長が航海中に偶然彼を見つけ、レスリーの元に連れ帰ったのだ。

ディックはそのとき、記憶を失い、レスリーを母親のようにおいかける幼児のような能力しかなかった。

そのディックと13年の間、レスリーは自分の心を封じ込めて生活したのだ。

そこに医師ギルバートと新妻アンと知り合い、新たな運命的な人生が展開する。

もうわかってはいても美沙はその先を読むことに大きな期待感が募るのを覚えた。

100年も前の物語であってもおそらくその内容にあることは、作者モンゴメリーの周辺に起こった事実があったはずだ。

美沙は今この物語を作者の空想だけではないと確信していた。

そう思っているうちに、「様々なことに夢をもつことはできる、」と思えたのだ。

幸い美沙の住む住宅街の近隣の人々とはすでに30年近い付き合いになっていた。

皆それぞれにそこに根を下ろし、良い年を重ねている。

ご夫婦二人だけになったり、ひとりですむ婦人もいる。

その人たちと日常の会話をし、時には車で一緒に買い物もし、いただきもののおすそ分けごっこもし、と義母信子と供に関わってきた、人々。

子供のない頃は随分と嫁として辛い思いもあったが、理子という子供ができてからはその子を可愛がってもらうことも多くなっていた。

理子もよく挨拶をする子として、声をかけてもらっている。

父親翔一郎への見舞いの言葉も心からのもので理子は勇気付けられていたのだ。

美沙は、翔一郎を迎えての新しい隣人との生活にも人々の心を信じようと思えた。

つづく

追記
昨日学生時代の友人がこの小説を読んで、また『赤毛のアン』のシリーズを読み始めたと手紙をくれました。
ネット生活は苦手だと言っていたのに、ここを覗いてくれていて、同じようにこの本のことを思い出して読み返してくれたという内容に感動しました。

アンのシリーズはこの頃は松本侑子さんの訳のものがあり、それもまた新しい感動に出会うと友人が言っていました。
私もまた新しいものを読んでみようと思っているのです。

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by akageno-ann | 2009-03-09 07:46 | 小説 | Trackback | Comments(3)

Commented by CHIL at 2009-03-09 16:12 x
ジム船長!
自分よりずっと年上で経験豊かで素晴らしい友人を持ったアン。
祖父が居ない私には憧れの存在でした☆
一人の祖父は戦時中に失くし、
もう一人の祖父は母が中学生の頃に脳溢血で亡くなったそうです。
中学校の校長先生で職員会議中のことでした。
まさに理子の年頃に母は父親をなくしたのです。

すみません、話がずれました・・・(^^;)
Commented at 2009-03-09 17:28
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ann at 2009-03-09 23:02 x
CHILちゃん・・ずれてないですよ~~
ジム船長・・大好きなんです・・もっと書きたいけど
ここは興味を持っていただいた方でまだ読んでいない方の
ためにも・・あまり内容を書かないようにしました。
でもこれを書いてて・・自分でもこの本が一番好きだわ
と、思いました。
CHILちゃんの貴重な思い出を書いてくださってありがとう
ございます。
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