アンのような暮らしを・・
第6章 その2
平田めい子の片山家に同居したいという申し出は、美沙を驚かせたばかりでなく、もちろん彼女の両親、とりわけ母親のよう子の度肝を抜くような話だった。
めい子はメールでメキシコに赴任中の両親にこれまでのいきさつと、片山美沙をはじめとして片山家の人々が大変好意的で家族のようであることを彼女なりに丁寧に知らせてはいた。
最初にそれを読んだ父親の平田氏はめい子の気持ちが痛いほどわかっていた。
めい子は幼少の頃、デリーで片山美沙を親戚の大好きな叔母さんというように慕っていたのだ。
幼い頃に出会った、優しい大人の女性は幼い女の子にはそのまま憧れに繋がるものだ。
美沙はそうなって当然の美しく優しい女性だった。
今その夫でかつてデリーで平田氏の同僚だった片山翔一郎がかなり重い病に罹っていたとしても、おそらく片山家の暮らしには暖かな団欒があり、そこに娘めい子が溶け込んでいても不思議はなかったのだ。
だが、そのことを妻であり、めい子の母であるよう子にどのように知らせるべきか少々悩んでいた。
しかし急を要することであり、めい子に返信し、片山美沙とも話をしなければならないと思った矢先に美沙から国際電話が入った。
休日の早朝だったから、当然のごとく平田自身が電話に出て、美沙と長い無沙汰を互いに詫びた。
「平田先生、めい子ちゃんには大変お世話になっているのですよ。優しい聡明なお嬢さんで、本当に素晴らしいです。でもこのほどのお申し出はあまりにこちらがご迷惑をかけるように思えて、先生とよう子さんはどのようにお考えですか?」
と、美沙は率直に話した。
平田氏は少し慌てて、
「いや、美沙さん、無理をいっているのではないのかな、めい子は?
実はまだそのことをよう子が知らないのだ。今これから話すのでこちらから折り返しお電話します。
ただ一つ聞いておきたいのは、めい子の同居は可能なの?」
インドで3年間同じ時期を苦労して過ごした仲間は長い無沙汰のあとでもそれは何故か不思議に親しみが湧いていた。
その問いに対し、美沙は比較的簡単に答えていた。
「私の方は家族で歓迎ムードなのです。」
それだけ聞けば今の平田氏には十分だった。
「では後ほど」と言って電話は一度切れた。
つづく
☆いつもこの「アンのように生きる」をお読みいただいて本当にありがとうございます。
私はアンをこよなく愛しつつ、そういうアンのような思いで暮らしている日本女性もたくさんいるように思って書かせていただいています。
小説は片山美沙という中年の女性からその娘の片山理子、そして友人の娘平田めい子という若い女性の生き方へと変遷していきます。
そしてその女性たちが同じ屋根の下で過ごすことになったときから少しずつ私の中にある、アンの生活ぶりを再現したくなってきました。
長いこと憧れつつ、これまで空想の中にあった、手作りの暮らしです。
今日はまだ自分ではなく、お気に入りの喫茶店のご夫妻がアンをこよなく愛し、その雰囲気のままに優しい憩いの空間を作られている場所を紹介させていただきます。Moreへお立ち寄りいただけましたら幸いです。
「小夏庵」ものぞいてくださいね。
優しいご夫妻がご家族共にこのティルームを開かれて、6年目です。
中にはアンにまつわる本が大切に置かれていますが、自由に読ませていただけます。
木の温もりのする古い感じにわざと作られた家屋は一人で伺ってもとても寛ぎます。
ケーキの中でお気に入りは「アンの贈り物」というりんごのシフォンケーキ。
オリジナルでとても人気・・今日はもう売り切れでした。
エントランスの草花やオブジェは可愛らしい春の様子に思わず立ち止まってしまいます。
音楽大学のあるので女学生が楽しげに会話し、年取ったご夫妻も常連さんのようにいらしている姿に出会います。
by akageno-ann | 2009-04-13 20:20 | 小説 | Trackback | Comments(6)
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crystal_sky3 at 2009-04-14 01:16
annさん、こんにちは♪
めいこさんが片山家に同居したくなる気持ちがわかるような気がします。めいこさんにとって片山家はもしかしたら自分の家族よりも
もっと近い存在なのかもしれませんね。
とっても素敵なティールーム♡
アンの帽子やトランクがあってアンの時代に迷い込んでしまった気分に浸れそうです^^
コメントのお返事が遅くなっちゃってすみません^^
旅行にはずっと本棚にちんと座っていた林真理子の「戦争特派員」
という小説を持っていきました^^
残りの半分は先日車修理をしている間のカーディーラーで読み終わりました^^
先日子供たちを連れて図書館にいった時、子供たちの本を探しているときにたまたま赤毛のアンに出会って、annさんのことを思い出していました☆
めいこさんが片山家に同居したくなる気持ちがわかるような気がします。めいこさんにとって片山家はもしかしたら自分の家族よりも
もっと近い存在なのかもしれませんね。
とっても素敵なティールーム♡
アンの帽子やトランクがあってアンの時代に迷い込んでしまった気分に浸れそうです^^
コメントのお返事が遅くなっちゃってすみません^^
旅行にはずっと本棚にちんと座っていた林真理子の「戦争特派員」
という小説を持っていきました^^
残りの半分は先日車修理をしている間のカーディーラーで読み終わりました^^
先日子供たちを連れて図書館にいった時、子供たちの本を探しているときにたまたま赤毛のアンに出会って、annさんのことを思い出していました☆
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panipopo
at 2009-04-14 16:41
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平田先生夫婦もきっと承諾することになるんでしょうね^-^
理子ちゃんにとってもお姉さんが出来るわけだから、うれしいことだと思いますよ。
思春期にはやはり年上の頼りになる聡明なお姉さんがいたら、どんなに助けになるか、って思います。
これからは話がだいぶ転換するんですね。
楽しみにしています!
このティールーム、ann姉さんが好きというのが伝わって来ますよ~!
素敵な空間でのんびりとお茶とケーキを楽しんで、おしゃべりしたり、本を読めたら最高ですね。
理子ちゃんにとってもお姉さんが出来るわけだから、うれしいことだと思いますよ。
思春期にはやはり年上の頼りになる聡明なお姉さんがいたら、どんなに助けになるか、って思います。
これからは話がだいぶ転換するんですね。
楽しみにしています!
このティールーム、ann姉さんが好きというのが伝わって来ますよ~!
素敵な空間でのんびりとお茶とケーキを楽しんで、おしゃべりしたり、本を読めたら最高ですね。
めいこさんが一緒に住むのですね!
どんな展開になるのでしょう。
私の中で赤毛のアンの世界がどんな風に見えるのか楽しみです☆
レスリーのように若い女性の持つ悩みや嫉妬も出てくるのでしょうか?
このカフェは、とっても素敵ですね☆
私こういう雰囲気大好きなんです♪
一度食べに行きたいです(^^)
とういうか、今年中に絶対に行きます!!!
どんな展開になるのでしょう。
私の中で赤毛のアンの世界がどんな風に見えるのか楽しみです☆
レスリーのように若い女性の持つ悩みや嫉妬も出てくるのでしょうか?
このカフェは、とっても素敵ですね☆
私こういう雰囲気大好きなんです♪
一度食べに行きたいです(^^)
とういうか、今年中に絶対に行きます!!!
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ann
at 2009-04-14 20:11
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クリスタルさん、そうなんです、めい子は本当に家族になりたがってるかもしれません。
本のお話ありがとう 林真理子は好きな小説家ですが、まだ読んでないのです・・最近読書から遠ざかっていたけど、また読もうと思います。
このティルームが近くで、本当にうれしいのです。
一人でもふらりと入りやすいのです
とてもアットホームです。
本のお話ありがとう 林真理子は好きな小説家ですが、まだ読んでないのです・・最近読書から遠ざかっていたけど、また読もうと思います。
このティルームが近くで、本当にうれしいのです。
一人でもふらりと入りやすいのです
とてもアットホームです。
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ann
at 2009-04-14 20:13
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ぱにぽぽちゃん、このティルームのケーキは素朴なんですが
私はここの空間が好きです・・
そう理子にお姉さんがほしいと思いました。
めい子はあなたのように聡明なの・・そして優しい・・
そんなイメージで成長させていきたいです。
私はここの空間が好きです・・
そう理子にお姉さんがほしいと思いました。
めい子はあなたのように聡明なの・・そして優しい・・
そんなイメージで成長させていきたいです。
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by
ann
at 2009-04-14 20:15
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