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暮れなずむ町に

第6章 その8

翔一郎の住む街は母信子の時代に建売分譲住宅として購入したものであった。

そこで翔一郎は学生時代をすごし、やがて家庭をもって二代目として年老いた母と同居をしている。

それと同様にその住宅地全体が確実に老いている気配があった。

そのことは街の機能が少しずつ滞るようなことも増えたが、若い者たちの手で少しでも住みよい街にしようとする話し合いや、年配者も楽しく積極的に人と交流する場を増やすような雰囲気もできてきていた。

それに加えて、翔一郎のように一足早く病気を得て年を重ねていかざるを得ない者たちの存在も増えていた。

互いに援けあって過ごす時代がやってきていた。

美沙は年老いた義母の信子を支えて静かに生きたいと、思っていたのにその信子にも経済的にも精神的にも頼っている自分に気づき哀しい思いをしていた。

だが、理子の成長はその嫁と姑の関係に大きな明るい光をもたらしてくれていた。

幸い夫の方はあと2年の病気療養中のまま休職の措置がとられ、給与の一部が支払われていた。

「なるようになるのだから・・」

と、自然な流れに逆らわないように美沙は過ごすことにしていた。

このままやがて退職する翔一郎に代わって、自分が非常勤の仕事をしっかりやっていけば、成人する理子を待って、なんとか生活は同じように続けていけるはずであった。

もちろん、夫の退職は早まるかもしれない。それは彼の復帰の可能性の有無に寄るものだった。

たくさんの問題を抱えながらも、人生は明るく過ごしていきたい。

そう願う美沙だった。

少なくとも家庭には笑顔がほしかった。

そこへ前途洋々の平田めい子が加わってくれたことは大きな喜びであった。

小さな喜びを大きく育てていくことも、この暮れなずむ町、での人生に必要不可欠なことだった。

美沙は時折ほんの少し頭痛がしたが、自分の心のケアもしていかねばならなかったのだ。

ただ自分が倒れたらいけない、などという切羽詰った思いをもつことは止めていた。

『なるようになる』

彼女のこの思いはそのときとても強い思いになっていた。

つづく

追伸

私の住む街も随分と高齢者が増えています。
しかもお連れ合いに先立たれお一人住まいのお年よりも増えました。

そんな中で長いお付き合いの方とは時々お尋ねしたりして一緒にお茶をします。

先日はブログを通して知った「Chez Panipopo おいしいお菓子レシピ」の期間限定のネットショップでお取り寄せのお菓子を注文させていただいたら、先日届きました。
暮れなずむ町に_c0155326_1219775.jpg

蜜柑の種類のデコポンのカトルカールや抹茶のサブレ 焼きメレンゲなどなど目にも美しくおいしいお菓子がEMS便で一日で届いたのです。
ご近所の年配の友人宅でのお茶会にも持って行ってみんなで楽しみました。
また10月頃にはショップの再開もあるかも・・と願っています。

お菓子の繋ぐ心と心というものがある、とつくづく感じています。
ブログはフランスと韓国の香りもたっぷりの国際色豊かな写真も楽しめます。

Chez Panipopo おいしいお菓子レシピをのぞいてくださいね。

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小夏庵ものぞいてくださいね。

by akageno-ann | 2009-04-25 12:25 | 小説 | Trackback | Comments(5)

Commented by fmutu at 2009-04-25 13:39
そうですよね。。。。
どうせ同じ生きるなら笑って過ごしたいですよね。。。。
笑う角にはですね♪

美味しいものいただいてね!しあわせですよね~~^v^
Commented by ann at 2009-04-25 22:20 x
fmutuさん、笑って暮らすって・・・結構努力しないといけないように思うんです・・美味しいものを食べるにもやはり努力が・・ぼーっとしていたい気もするのですが・・
Commented at 2009-04-26 02:09
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by Lotus_Wing at 2009-04-26 18:56
こんにちは。
ちょっとばたばたしていてご無沙汰しておりました。
クロスステッチ、すてきですね。
しばらく針を持っていませんが^^;久しぶりに私も作りたくなりました。

美味しいお菓子があると会話もはずみますよね~
Commented by ann at 2009-04-29 08:17 x
Lotus Wingさん またの来訪に感謝しています。
様々な思いでこの出会いを大切にさせてください。
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