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小説 ひまわりのような人

その1

堀田恵子は夕刻になるとちょっと家事をするのにアルコールの力が必要になってきた。

特に暑い夏は夥しく流れる汗をぬぐいながらも舅との同居で気楽にシャワーも使えずにいるのだから、せめて冷たいビールが喉を流れる瞬間の涼をとりたいと言い訳しながら缶ビールをそのまま口にすることが多くなった。

『キッチンドリンカーっていうのはこうしてなってしまうのかしら?』

友人の奈津子は亡くなる寸前に変化する身体をもてあまして一人家でアルコールに浸るようになっていたことを思い出していた。

今まで彼女が生きていたら、もっと理解してあげられたのに・・と悔やまれて仕方がない。

今夜は久し振りにその仲間だった夕子と飲むことにしていた。

本当にたまにではあるが、最近敢えてそういう時間を作るようにしている恵子だった。

「お父さん、今夜は出かけますので、すみませんが夕食はお部屋で一人で召し上がってくださいね。」

「ああ!」

機嫌は決して良くないが、もう慣れてはいる。

恵子も色よい返事を期待していないからとにかく、こういう日の夕食は舅の好きなものだけを並べるようにしている。

何しろ野菜嫌いなので四苦八苦だが、天麩羅ならなんでも食べるという人だ。

姑は早くに亡くなっていたが、誠に料理上手だったようで、しかも家族の好きなものだけを作っていたようで、恵子は大いに迷惑をしていた。

しかし愛情も深くて、生まれたての恵子の長男の優(すぐる)をこよなく愛し、恵子に優しく接してくれた記憶は今もしっかりと心に残っている。

その後恵子は女の子と男の子を生み育て、優はこの春から社会人に、娘の沙耶は大学3年生に 末っ子の貴(たかし)は私立高校に入学していた。

夫は会社勤めだが、さすがにこの時代の変遷に影響されることが多くて帰宅もまちまちで体も疲れてきているのが恵子の心配事だった。

                                                  つづく
小説 ひまわりのような人_c0155326_8144211.jpg


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小夏庵ものぞいてくださいね

by akageno-ann | 2009-08-01 08:12 | 小説 | Trackback | Comments(7)

Commented by flyrobin at 2009-08-01 08:20
新しくannさんの小説が始まりましたね。
楽しみに拝見させていただきます♪

東京の友人が昨日はちょっと涼しかったと電話で
言っていましたが、今日あたりも過ごし易い一日だと
いいですね。
Commented at 2009-08-01 08:41
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ba-chama at 2009-08-01 09:12 x
新しい小説ですね

仕事から帰ってきて キッチンでビール飲みながら読みました。

これからも楽しみにしていますね

暑い日本の夏、お体にお気をつけて、、、。
Commented by crystal_sky3 at 2009-08-01 12:07
わ~~い!!
annさんの小説がまた読めるんですね♪♪
ひまわり大好きなんです。
わたしの目標はまさに「ひまわりのような人」です^^
これからも楽しみにしています♪
Commented by panipopo at 2009-08-01 16:15 x
新しい小説の方、楽しみですね~!
ひまわりのような人とは、恵子さんを指しているのかどうか、ってワクワクです。
始まりがサラって読めて、なんとなく素晴らしい始まりで次が楽しみですよ~☆

ステキな週末でありますように!
Commented by ann at 2009-08-02 08:18 x
また再開した小説にこうして旧知の人々が集まって声援を送ってくださることに感謝と気恥ずかしさがあります。
ひまわりのような・・と形容したい人たちがここにいます。
私の思いを小説で届けられたらどんなにか嬉しいと思います。
気ままに更新させていただいてます。
どうぞ気楽に立ち寄ってください。
感謝をこめて
ありがとうございます。
Commented by ka-chan-anone at 2009-08-02 21:42
わ~うれしいです☆
またannさんの小説が読めること、楽しみです(^^)

「ひまわり」太陽に向かってまっすぐに咲く花。

どんな展開が待ち構えているのでしょう。
楽しみにしています♪
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