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小説 その2

小説 ひまわりのような人 

その2

友人の夕子は高校時代の友人だが、未だに独身を通している。
大手商社に勤めて、その時代には珍しい総合職を担い、恵子たちが想像もつかないような壮絶な試練を潜り抜けて現在は海外部の責任者にまでのし上がった。

そして夕子は今、彼女の母親の介護をするか、施設に預けるかの選択を迫られている状況にあった。

ずっと親しく付き合っていたというより、ちょうど彼女たちが40歳になったときに高校のクラス会が行われて、そこで久し振りに恵子と夕子は再会したのだ。

恵子は高校時代に可愛らしく華やかな雰囲気の女学生だった。
夕子は文科系の秀才で教師からの信頼も篤く、クラスメートからは羨望の目で見られていた。

恵子はただひたすらに夕子を尊敬し、特に数学などわからないことがあると、素直に教えを請うようなところが夕子は嬉しかったものだった。

恵子はその頃から大学は女子大の短大を出て、ちょっとだけ会社で勤めて結婚退社する、というレールを敷いていることを夕子は知っていた。

人の人生をとやかく言う気持ちはなかったが、夕子はそれは絶対に嫌だったのだ。

夕子は母親が大学教授の父親の影になって自分を殺して生きていると感じてならなかった。
両親のことは嫌いでないが、両親の関係が嫌だったのだ。

女も結婚に永久就職を決めず、自分の道を歩もう、としっかりと考えていたのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

50歳を前にして、しかし夕子の人生も様変わりしていた。
会社関係の人間には話せない内容の相談事がおこっていた。

恵子を誘って飲みながら話をするのは心が安らいだ。
しかも恵子の夫が薦めてくれた焼き鳥屋は女同士で気楽に入れて美味な創作焼き鳥を食べることのできるいい店だった。

そこならば夕食の準備をしてゆとりででかけられると恵子もここ3度ほどを付き合っていたのだ。

                                                つづく
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小夏庵ものぞいてくださいね

by akageno-ann | 2009-08-02 21:33 | 小説 | Trackback | Comments(7)

Commented at 2009-08-02 21:45 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ka-chan-anone at 2009-08-02 22:20
先ほど、その1にコメントを打ってきたら、
その2が更新されていて、びっくり☆

そういえば、私が高校3年生の頃、
うちの高校は女子はほとんどが短大か専門か就職する学校で
4年制大学に行く人は本当に数名という状況でした。
もちろん当時私には4年制大学に行く学力もなかったのですが、
浪人をして4年制を受験することを決めました。
その時の友人が、
「女なんだから浪人までして4年制大に行くことないよ!!」と
強く言われました。
「まあね~」と流しました(^^;)
心の中で、生き方は人それぞれだから、
そんなん言わないで~と思いました。
あっ今でもずっと友人です☆
彼女は短大に行き、事務OLとして働き、数年で寿退社をし
専業主婦になり子ども2人に恵まれ、
彼女の理想の幸せな道を歩んでいます。
もちろん私も今のところ幸せに生きています(^^;)

すみません、自分の話を長々と・・・
annさんの小説を読んでいると
いつも自分を振り返ってしまいます♪
annさんの小説の力です☆
Commented by flyrobin at 2009-08-02 22:22
ブログ小説。。という言い方をしても良いのでしょうか。
annさんの執筆才能もあって、毎回楽しみになっています。
今回は初めから読ませていただけるのが嬉しい。。
もっと早くannさんと巡り会っていたらな~とは思うものの
ご縁ができた時がベストタイミングだったのですものね。
続編を楽しみにしています。

Commented at 2009-08-03 12:15 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2009-08-03 12:16 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by panipopo at 2009-08-03 20:18 x
annさん、こんばんは☆
恵子さんと夕子さんは対照的な感じの人生を歩んで来たんですね。
で、40過ぎて、交わる点も出て来てのお付き合い。
これはこれでいいことですよね。
お互いに何か共通点があって話や相談が出来るのはステキな関係になって来たと思いますよ。
どうなるのかな~!?
Commented by akageno-ann at 2009-08-03 21:47
なんだかとても気恥ずかしいほどに声援の言葉をいただいて
すっかり書く気になっている私です。ブログ小説の書きやすさ・・を感じています。こうしてすぐに様々な感想をいただける幸せ・・それがまたタイピングを進ませてくれます。
不思議です。創作の中に・・皆さんの人生を重ねてくださること・・もったいないことと・・感じています。
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