小説 その13
ひまわりのような人
その13
田部夕子はその電話を切って、珍しく心が弾んでいるのを押し隠すことができなかった。
昼休みの終わり近くに、恵子からの携帯電話だった。
「タコ、今いい?」
「ええ、なあに?」夕子は恵子の声に気のない返事を返していた。
「今、きっとそばに人がいるでしょうから・・・返事だけしてほしいの。」
「・・・・・・」
「あのね、黒田君が連絡してきたの、貴方に会わせてほしいって・・」
「え?何故?」
「それは会いたいからに決まってるのよ・・ね、どう?私が献立るから乗ってね!」
「また、貴方は何か企てるのね・・」
「いいじゃなあい・・一緒に会うくらい・・詳しいことはまた連絡するから、できたら来週の土曜日、空けておいて・・もちろん夕方から・・ね・・」
「ちょっとまって・・」と、いいつつ、その日は別段予定はない夕子だった。
「先日会ったときに・・土曜日は本当に休日にしてるっていってたわよね・・」
「そうだったわ・・」
力なく、従った夕子だったが、心は思いと裏腹に浮き立ってきている。
黒田保夫のことは三ヶ月前から学生時代の気持ちに戻ったような思いで心の奥底に置いてあった。
保夫は40代になって、なかなか風格の良い男になっていた。
高校生のときは痩せて、神経質そうな雰囲気が印象に残っているだけだった。
それから二十数年を過ごして再会した同期会での黒田は夕子を見て、明らかに心ときめかせていた。
男の方がそういう感情は素直で、表情に表すが、女は割りにそっけない風を装ってしまうことが多いものだ。
互いにその場で独身であることはわかったはずだが、夕子は恵子の力添えなしには何も進行しないのだ、と夕子は情けなく己を笑った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
恵子はその夜きちんと電話をしてきた。
忙しいであろう昼下がりに携帯にかけたのは、夕子に有無を言わせないための作戦だったという。
こんな年齢になるとどうしても恋愛沙汰を億劫がるだろうと、恵子は押しの一手に決めていた。
「場所なんだけど、古い庄屋を炉辺焼きの店に改装したなかなか風情のある処なの。
うちから車で30分ほどなんだけど、黒田君も貴方も最寄のB駅に午後5時に来てほしいの。私が車で迎えに行きます。」
あの大人しい主婦だと思っていた恵子はてきぱきと計画して説明し、その彼女の敷こうとしている路線にまんまと乗せられようとしている社会人が受話器を握って苦笑していた。
つづくいつも応援クリックに感謝しています。
「小夏庵」ものぞいてくださいね
by akageno-ann | 2009-08-22 21:47 | 小説 | Trackback | Comments(7)
夕子さんのロマンスがついに幕開けですね☆
恵子さんの計らいで、うまく2人で引き合わされるのですね。
どうなるのか楽しみです。
恵子さんは最後までうまく立ち回るのか・・・
はたまたおせっかいが過ぎてしまったりするのかしら・・・
なんて、そちらのほうまでドキドキしています(^^)
恵子さんの計らいで、うまく2人で引き合わされるのですね。
どうなるのか楽しみです。
恵子さんは最後までうまく立ち回るのか・・・
はたまたおせっかいが過ぎてしまったりするのかしら・・・
なんて、そちらのほうまでドキドキしています(^^)
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こちらもリンクいただいちゃいました。
CHILちゃん・・・ロマンスのつづき・・ちょっと待っててね・・
ちょっと旅してきます・・いつも声援ありがとう!
ちょっと旅してきます・・いつも声援ありがとう!
watchsjpさん こちらへもありがとう・・
よろしくお願いします・・ちょっと旅してきます!
よろしくお願いします・・ちょっと旅してきます!
恵子さん、やりますね!
確かに40歳まで独身を通してきたら、いろんな意味で恋愛が
億劫になってしまうかもしれませんね。
傷つくのもいやだし・・・とか変なプライドも邪魔したりして。
恋の行き先、ワクワクです♡
確かに40歳まで独身を通してきたら、いろんな意味で恋愛が
億劫になってしまうかもしれませんね。
傷つくのもいやだし・・・とか変なプライドも邪魔したりして。
恋の行き先、ワクワクです♡


