コスモスのように・・その2
小説を再開しました。
コスモスのように
その2
堀田優(すぐる)は25歳を迎えた。
堀田紘一郎と恵子の長男として、大いに期待を持って育てられた。
大学を卒業してから しばらくはスーパーマーケットの派遣社員のようなことをしていたが、接客業が意外に向いていることに自ら気づき、ホテルマンとしての再出発を心に期した。
そのことを一番に報告し、賛成をしてくれたのが母 恵子だった。
恵子には病床に報告したのだが、優しい微笑を浮かべて
「好きなように生きていきなさいね・・」
と母恵子は言った。
恵子自身も病床にある自分が今までの思想とかなり変化していることを感じていた。
長男として育てた優にはこの家を継いでいってもらいたい、などと考えた時期もあったのだ。
自分が舅と共に生活していたので、逆に良い姑になれるような気がして、共に優のもつべき家族と共に生活する日も夢見ていた。
だが、誰かが誰かを束縛するようなことは、例え親子であっても、あってはならない事実だと感じた。
舅には申し訳ないが、やはり自分はかなりな部分で舅という存在に囚われすぎていたと、ベッドの上でその解放感に浸ったのだ。
このような思いを我が子優や未来の彼の妻たる女性に味合わせてはいけないとつくづく思った。
恵子の母は長く義理の両親に尽くした人であったから、恵子が舅と暮らすときには大きな反対をしていた。
今さらのようにその思いがあり難く感じられる恵子だったのだ。
つづく

コスモスのスケッチ画はブログの友人 CHILさんの作品を拝借しています。
☆ これからまた作品を書かせていただきます。
どうぞ気楽に覗いてください。よろしくお願いします。
Y.N.

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by akageno-ann | 2009-11-03 23:26 | 小説 | Trackback | Comments(0)