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コスモスのように・・その8

主人が絵本を描いて毎日連載しています。
よろしかったら・・覗いてください。

私たちの愛する友人のお子さんをモチーフに描きました。

「かあちゃんに あいたい」です。どうぞよろしく!
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小説も続けます。

コスモスのように  その8

母親のいなかった家に母として妻として戻った恵子は しばらくは家政婦の三田紀子の手を借りて少しずつ生活を戻すことになった。

夫の紘一郎は今回の妻の病気によって随分と意識改革を行っていた。

ここまで元気に溌剌と家の中のひまわりのような存在であった妻恵子に倒れられ、長い病院生活をされてみて、初めて知った自分の身勝手さを思った。

考えてみると子どもや父親が具合が悪いからと言って、仕事を休むこともなかったし、自分が風邪を引いたときもわがまま放題を恵子がいつも暖かくケアしてくれていたことにも、今さらのように気づいた。

忙しさと家族のために二人でゆっくり旅をすることもなく、恵子はそれに文句も言わなかった。

たまに実家にもどったり、友人との食事を楽しむ程度でも恵子は楽しんで 多くを要求しなかったのだ。

そのまま恵子をもしかしたら死に向かわせてしまったのかもしれない、と今思い返すと身震いした紘一郎だった。

「コスモスのようでいいんだ。そんなに頑張っていつも明るく振舞って、みなのことだけを中心に考えるのはもういいんだよ。親父だって十分生きたんだ、君に甘えて何でもやってもらって、でも見てご覧 自分でやろうと思えばやれるんだよ。

君が家に戻ったからと言ったって、今まで通りにする必要は全くないんだよ。」

そう言ってやれてよかった・・と紘一郎は安堵していた。

父親も今のところは静かに暮らしている。

恵子に対して感謝の気持ちを表すようになった。

「ありがとう」という言葉を今まで忘れていたかのようなこの家庭に、家政婦の三田さんに感謝することから始まって、やっとこの家にも「ありがとう」が戻ってきた。

不思議なことに「ありがとう」を心から言い始めると、人間の生活の中に人に感謝する場面がいかに多いことかを痛感させられた。

子どもたちもしっかり言葉にするようになった「ありがとう」が生きていた。

三田さんも気持ちよく働いてくれているようだ。

恵子は気を遣い、また上手に甘え、女の人はこうして生活に潤いを持たせる術があると感じ始めていた。

つづく

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by akageno-ann | 2009-11-20 20:06 | 小説 | Trackback | Comments(9)

Commented by ka-chan-anone at 2009-11-20 22:14
「ありがとう」の言葉大切ですね。
夫にそう言われたらうれしいし、
私も言わないといけないな~なんて反省しています(^^)
Commented by nanako-729 at 2009-11-22 14:21
コスモスのように…ちょこちょこ読んでいたのをまとめて
もう一度読ませていただきました!
沙耶さん、美津子さん、うちの娘もこのお嬢さんたちのように
できるのかしらと考えてしまいました!
これから先どのような展開になっていくのか楽しみにしています♪
Commented at 2009-11-22 14:50
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2009-11-22 16:31 x
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Commented by panipopo at 2009-11-23 18:32 x
ステキな関係が生まれてますね。
こうやって、恵子さんも少しずつ確実に回復して、これからはコスモスのようにしなやかに生活してもらいたいですね。
やはり家族でも慣れ合わずに感謝の気持ちを持つことは大切だなって思いました。
うちは案外と「ありがとう」という家族かな???
でも、言ってもうちはそれに慣れてしまって、あんまりありがたみがないと思うので、これからは心をこめて言うようにしてみます☆
Commented at 2009-11-23 18:43
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Commented at 2009-11-24 08:53
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Commented at 2009-11-24 13:50
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Commented by ann at 2009-11-25 09:39 x
日々の暮らしに照らしての感想をたくさんいただけて感謝しています。
ゆっくり続けさせていただきます。
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