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コスモスのように・・その9

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小説を書いています。
このコスモスの絵は いつもタイトル画を描いてくださる 4歳のりょん君の作品です。
りょん君とその兄弟がモデルの絵日記ブログ→「かあちゃん、あのね

小説 コスモスのように

その9

三田紀子は若くして夫に先立たれ、幼い二人の子どもを抱えて ホームヘルパーの仕事をはじめて2年がすぎた。

子どもたちは保育園と実母が面倒をみてくれているが、次第に自分がこういう家事を主体とした仕事に向いているのではないか・・と思い始めた。

この仕事で一番大事なのは責任感である。

守らなければならない事項はいくつもあるが、先方のいて欲しい時間を責任をもって確保することが一番大切だと感じている。

今は携帯電話があるので、突発事故などはすぐに連絡可能だが、それでもその日にいけない・・というのはいずれにせよ大きな支障を先方にも会社にも与えることを感じてきた。

幸い今までは 子どもの急な発熱などあっても、実母が代わってくれていたので、健康体を保てている本人の問題もなかったので、なんとか無事に勤めができている。

その実績がまだ浅い経験年月でも次第に重要な仕事に就かせてもらえるようになった所以だとも自覚があるところだ。

今回の堀田家の仕事は 先方から若くて明るい人、という条件に沿った人選だと聞いた。

どんな家庭なのか、さすがに最初の日は緊張と不安で向かうのだが、堀田家の人々はまことに自然体で、また夫妻がなんとも暖かい雰囲気を醸していて有り難いと感じた。

お年よりもいるが、まだ健康で、この度のこの家の主婦堀田恵子の病気療養で、自分もまだまだしっかりせねば、という気持ちがあることを感じた。

堀田恵子の病状は少し重症だとは聞いていたが、心は癒えているようで、雰囲気がほわんと柔らかい様子に先ずほっとした。

しかし三田紀子は気持ちは緩めず、まず1週間をこの家に慣れるべくかなりの神経を使って様子をみた。

家庭生活の上で食事つくりのためのキッチンの使い勝手は かなり大きな比重をおくが、堀田家は先ずあまり食への嗜好がうるさくなく、紀子が作ったものを「おいしい」と言いながら食べてくれることが嬉しかった。

恵子はその食事のメニュー作りに熱心で、紀子と無理のない程度に一緒に献立を考えた。

「三田さん、食事が楽しみになってきたことが一番元気になってきている証拠だと思えるの。」

「奥様、良かったです。本当に・・皆さんなんでもおいしいと召し上がってくださって、とても嬉しいです。」

「それは貴方がとてもきちんとお料理してくださるからよ。」

ふたりは和やかな会話をすようになってきていた。

この項つづく

by akageno-ann | 2009-11-25 08:12 | 小説 | Trackback | Comments(4)

Commented by ka-chan-anone at 2009-11-25 21:33
新たな女性の登場ですね。
annさんは人物を細やかに描いてくださるので、
とても楽しみになります☆
Commented at 2009-11-26 05:47
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by panipopo at 2009-11-27 21:48 x
恵子さん、ごはんを美味しく感じられるようになって来てよかったです。
三田さんも素晴らしく心立てのステキな家政婦さんみたいですね。
お互いの相性もあるとは思いますが、こうやっていい感じでお付き合い+仕事が出来るのは何よりですよね。

Commented by akageno-ann at 2009-11-27 23:10
家事って大変ですよね・・家事をすることは本当に好きでないと・・と思います。家政婦さんの役割の大きさをこの頃感じます。無理をしないで行くという日本女性のあり方も考えます。
いつもコメント本当に嬉しいです。
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