コスモスのように・・その10

小説を書いています。
このコスモスの絵は いつもタイトル画を描いてくださる 4歳のりょん君の作品です。
りょん君とその兄弟がモデルの絵日記ブログ→「かあちゃん、あのね」
小説 コスモスのように
その10
「三田さん、みたさ~~ん!」
大きな声で舅が家政婦の三田紀子を呼ぶ声が聞こえた。
最近の朝のひとこまになった。
嫁の恵子を名前で呼ぶことが殆どできなかった彼も この三田さんという呼び名は心地よいらしい。
また三田紀子が綺麗で聡明な雰囲気が舅は気に入っているのだ。
その上若く、てきぱきとしている。
かつて自分もこんな感じだったのにな・・と恵子はちょっと首をすくめてみた・・
女は年をとれば家事にも鈍さが出てくるものだ。
ここの姑も晩年はまだ60歳少し前であったが、病気も抱えて辛い日々であったであろう・・と
恵子は一人彼女を偲んでいた。
大正生まれの姑は 黙って家の切り盛りを家族のためにする人のようであった。
恵子が嫁いできて、孫もみて、安心するかのように急死した。
病はおそらく別にあったはずだが、最後は心筋梗塞だった。
友人の主人も若くして亡くなったのは同じ原因だった。
若い日々はあまり病気などはかなりの症状が出ない限り気づかぬことが多いのだ。
夫の紘一郎は最近は妻を同じように早世させまいと、気を遣っている。
舅はというと、新しい自分の面倒を見てくれる人が現れたのでこれ幸いな様子が伺える。
もう80をとうに越えているせいか、我が身大切の気持ちはいたしかたなかろう・・
しかし、恵子は病を得て、朝の食事が終わると少し自室で休むようにしている。
こうしてみると、朝の家事は女にとってかなりの重労働だったとわかってきた。
三田紀子のきびきびとした家事労働の様子を音で感じていた。
洗濯物を2階のベランダに持っていくのに階段を上がる様子が軽やかだ。
まな板で包丁を使う音も実にリズムが感じられる。
その上、彼女の料理の盛り付けがとてもセンスがあって、子どもたちも喜んでいる。
ふと恵子自身がここに嫁いでキッチンが華やいだと姑に言われた遠い日のことを思い出していた。
つづく

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by akageno-ann | 2009-11-27 23:25 | 小説 | Trackback | Comments(8)

りょん兄のコスモスの絵をありがとうございます(^^)
本人も自分の絵を見つけて喜んでいます。
いろいろな世代の女性が出てくるannさんの小説。
とても楽しみにしています。
annさん自身がいろいろな世代の方と交友されているから
書けるのでしょうね☆すごいです☆☆
本人も自分の絵を見つけて喜んでいます。
いろいろな世代の女性が出てくるannさんの小説。
とても楽しみにしています。
annさん自身がいろいろな世代の方と交友されているから
書けるのでしょうね☆すごいです☆☆
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三田さんのキビキビと働く様子、気持ちがいいですね。
恵子さんもきっと助かってることでしょう。
確かに人間は年寄りになると、自己チューになるみたいですよね^-^;
annさんの人間描写が的確なので苦笑いしながら、読んでます。
なるほど、うちにも(実家)当てはまるなって。^m^
今日のお話も面白いです。続きが楽しみです!
恵子さんもきっと助かってることでしょう。
確かに人間は年寄りになると、自己チューになるみたいですよね^-^;
annさんの人間描写が的確なので苦笑いしながら、読んでます。
なるほど、うちにも(実家)当てはまるなって。^m^
今日のお話も面白いです。続きが楽しみです!



小説ランキング娯楽部さま
ご覧いただきありがとうございました。
ご覧いただきありがとうございました。

panipopoちゃん いつもありがとう キビキビした感じはあなたそのものです。仕事をしっかりこなす人って憧れです!お年寄りのことはいずれは自分もという思いもあって、それはある意味転ばぬ先の杖なんだと思うの・・病気もしないように・・みんなに伝えたい!