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コスモスのように・・その12

挿絵にさせていただいている この絵の作者 CHILさんに 第3子が誕生しました。おめでとうございます。
母子共に健康でいらっしゃいます。
今日もその絵を使わせていただきます。
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小説 コスモスのように

その12

三田紀子は31歳になっていた。

子どもは5歳の女児と 3歳の男児がある。

夫とは大学時代の先輩後輩の関係で、卒業後の就職先で再会して結婚に至った。

幸せな結婚であった。

三田自身の父親は早くに亡くなっていたので、少し年上の夫は父親のようにも頼もしく感じていた。

体躯も立派で実に包容力のある、友人たちも羨むような相手との結婚だった。

紀子は母とつましく暮らしてきたので、家庭的で料理も上手く、彼女の夫は紀子を愛おしく思っていた。

その二人の間に暗雲が漂い始めたのは、は二人目の子どもを授かったとわかって三ヶ月程過ぎた日のことだった。

いきなり池袋付近の病院から電話がかかり

「ご主人が池袋駅構内でたおれ、心筋梗塞の恐れで入院されています。」

と、いうのだ。

あまりの唐突さに信じることもできず、ちょうど子どもたちも一緒に集っていた母親グループに事情を話してみると、

「とにかき、今の電話が本当かどうか・・ちょっとその病院に電話をしてみるわ。」
と、その中の一人が確認の電話をしてくれて。

そして、その事実は確認されてしまった。

そこに三組の母子がいたが、もう一人の母親が 

「主人に車を出させるから、乗っていったほうがいいわ。病院からまた連絡をしてちょうだい。必要なら行くから」

と、てきぱきと計らってくれた。

少し呆然としてしまった紀子は 近くに住む母親に電話をして、事情を話し、すぐに家に来てもらった。

そして上の子どもをその母に任せて、紀子は後部座席に静かに乗って、指定された病院へ出発した。

早春の夕刻のことであった。

つづく

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by akageno-ann | 2009-12-04 22:26 | 小説 | Trackback | Comments(6)

Commented by panipopo at 2009-12-05 21:58 x
幸せな生活を送っていた三田さんが、そんな驚愕なニュースを聞いて、茫然と信じられなかった気持ち、よ~くわかります。
健康って本当に大切だけれど、若いときはあんまりそんなこと考えないし、健康であることが当たり前だと思いますよね。
私の知り合いの親戚の息子さんも28歳で急に寝たっきりになってしまって大変です。
三田さんの話は身に詰まりますね。
Commented at 2009-12-06 02:01 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by nanako-729 at 2009-12-06 09:53
突然にそういう電話を受けた時、頭が真っ白になって
何をどうすればいいのかわからなくなりますよね。
子供が小さい頃って二人ともまだ若くて、そんなことは
絶対にありえないって…
信じたくないことが起きたのですね!?
Commented by akageno-ann at 2009-12-07 22:59
panipopoちゃん、忙しい中読んでくださって、コメントも本当に
ありがとう・・28歳で・・ご家族の哀しみを痛切に感じます。
三田紀子の現実もまた運命なのだと・・感じつつ書いています
彼女の前向きさを応援してください。
Commented by akageno-ann at 2009-12-07 22:59
鍵コメさん・・お帰りなさい
お気持ちに感謝!
Commented by akageno-ann at 2009-12-07 23:00
nanakoさん、信じたくない出来事ってそうなったときに
少しでも強い自分でいたい・・という気持ちで描いています。
いつも応援ありがとうございます。
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