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コスモスのように・・その15

小説を書いています。
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コスモスのように
その15

「あなた、そろそろ私も一人で家事をやって行こうと思うの。
今までいろいろとありがとう。三田さんの手助けが一番有り難かったわ。」

恵子はそう切り出した。
紘一郎は

「まだそんなに張り切らなくていいんだよ。三田さんも慣れてきているし、君も別に彼女が嫌ではないのだろう?」

そう応えた。

恵子はそう来るだろうと思っていたので、言葉を続けた。

「その通りなの。三田さんがいてくれて、とても助かるわ・・そして頼ってしまうのよ。
皆もそれが当たり前になって、特に沙耶が殆ど手伝わなくなってきてしまって・・

それが私はなんだかとても寂しいの。」

その率直さが紘一郎には初めての経験のように思えた。
恵子がダダをこねているようにも思われたが、ひどくそれが可愛く見えた。

「そうか、しょうがないな、まだまだ子どもで。あんなに自分はがんばると言っていたのに、すっかり頼っているんだな。」

紘一郎はそうまっすぐに捉えて応えた。
それが今の恵子には嬉しかった。

「私の嫉妬なのね・・きっと・・やはり主婦は一家に一人でいいんだと思う。」

その恵子のそばによって、顔をのぞきこむようにして紘一郎は言った。

「そういう気持ちになってくれたのは、本当に元気になってきているからなら、すごく嬉しいぞ。」

恵子はにこやかに笑って

「ええ、大丈夫無理はしないわ。若い時とちがって、本当に無理はできないのよ。」

そうだな・・と紘一郎は笑って、それでは少しずつならす様に家事を増やしていこうと言った。

恵子は嬉しかった、舅はきっと三田さんの存在が嬉しくて、その案を否定しただろう。
でもここは夫婦でしっかり考えて、子どもたちにも理解してもらって、元の生活に戻していこう。

そう強く思った。

優秀な家政婦さんがいるというのは主婦が心が萎える。

そのままのんびりと一生を終わるわけにはいかない、と恵子は強く思ったのだった。

つづく

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by akageno-ann | 2009-12-12 22:10 | 小説 | Trackback | Comments(7)

Commented by nanako-729 at 2009-12-13 09:52
おはようございます!
12月は時間が益々早く感じます!あれもこれもやっておかなくちゃと
気持ちばかり空回りしてる感じです~笑

↓秋川渓谷の黒茶屋さん、ステキなところですね!
炭火で頂くお料理は心の中までほっこりしそうです♪
Commented by ann at 2009-12-14 07:43 x
nanakoさん、12月はいつもの倍ほしいです!
時間・・もう半分過ぎた・・と言ってはならないのに
言わずにいられない・・笑
黒茶屋さん・・お気に召すといいな・・・
Commented by panipopo at 2009-12-14 17:42 x
恵子さんはとっても健全な精神の持ち主だなって思いました。
私なら。。。^m^ 三田さんにすっかりと頼って、好きなことをし始めてしまうかもです^-^;
そういう恵子さんもステキだし、ちゃんと自分の意見をだんなさまにも言えるようになれたことも素晴らしいですね。
紘一郎さんも、ちゃんと奥さまのことを真摯に受け止めて、これまた夫唱婦随でいいなって思いました。
Commented by ann at 2009-12-14 19:49 x
ぱにぽぽちゃん、なるほどね・・そう私も頼ってそのままの暮らしがいいかも・・ただやはり日本では家政婦さんは高いよね・・その辺がなかなか難しいところなのかな・??なんて考えてますが・・
素直な心で進んでいるのは自分があまり素直でないからかもね・・
でもいつも率直な感想をありがとう とても励みになります!
Commented by geko at 2009-12-15 12:59 x
今日は昼休みに、まとめ読みさせていただきました^^;
恵子さんの気持ちがすごくよくわかってうなってしまいました。
でも私は恵子さんみたいに健全じゃないかも。
私は単なるヤキモチかも。^^;
続き楽しみにしています♪
Commented by akageno-ann at 2009-12-15 22:32
gekoさん、そう焼きもちなのよ・・どんな形でも
そのやきもちを隠す方がもっと健全でないかも・・
そんなことを考えてます・・
Commented at 2009-12-18 09:08
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