コスモスのように・・その18
Merry Christmas


お気に入りの喫茶店のツリーが素敵でした!
小説 コスモスのように
その18
紘一郎と恵子の短い旅は、静かな癒しを以って無事終わった。
やっと日常生活に戻れそうな気力が沸々と湧いてくるようなそんな気配を恵子は感じていた。
三田紀子が来てくれたお陰で自分に何か生きて行こうとする意欲が湧いたのだ。
もしかしたらそれは若いしっかりとした清潔な美しさのある彼女に対するある種の嫉妬心からかもしれないと、恵子にはわかっていた。
しかしその嫉妬心は若い時のそれとは違って、どこか穏やかで後ろ向きではない諦めがあった。
それゆえに自然に素直な心と向き合い、恵子はまた生きて行こうと決心がついたのだった。
思えば亡くなった姑は、恵子が堀田家に嫁いで1年余という短さで、あっという間に逝ってしまったのだった。
彼女は今思うと、それまでの生活の疲れの深さと、恵子が家事を代わってやるようになってから、あまりにやる気を失せさせたのかもしれなかった・・と 思い返すのだった。
あの頃、50代の舅姑を 20代の恵子はとても年寄りに感じてしまっていた。
本人たちが年をとったという自覚が強かったせいもあるが、30歳という年齢差が自然にその差を歴然とさせたのかもしれなかった。
しかし今恵子自身がその年になったときに、時代の変遷もあるが、まだまだ若く、老いている自分の自覚がないことに気づいた。
その差が同じ疲労した主婦であっても、生きていく自信のあるなしに拘わっているのだとわかった。
最後に姑が作ってくれた、ワカサギのフライと 南瓜のグラタンの綺麗な仕上がりをふと思い出し、亡き姑のきちんと暮らしていた姿を思い起こすのだった。
自分もあの人のように綺麗に年を重ね、静かに人生を閉じられたら・・とも考えた。
それまではまだ残されているたくさんのエネルギーをしっかり使い果たそうと心に決めていた。
つづく

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by akageno-ann | 2009-12-25 00:34 | 小説 | Trackback | Comments(6)

annさん、メリークリスマス☆
私も20代そこそこの時に50代後半の先生のことをおばあちゃんなんて思ってた(そのことに対して失礼だとも思わずに自然的に)ので、恵子さんも若い時分にお舅さんとお姑さんに対してそんな思いがあったと分かり、なんとなく親近感です^-^;
三田さんは恵子さんの活性剤になったんですね。人間のやる気みたいなものって、思わぬところから出るんだなって思えました。
これからの恵子さんたち夫婦のあり方も、自然で素晴らしいなって感じます。
私も20代そこそこの時に50代後半の先生のことをおばあちゃんなんて思ってた(そのことに対して失礼だとも思わずに自然的に)ので、恵子さんも若い時分にお舅さんとお姑さんに対してそんな思いがあったと分かり、なんとなく親近感です^-^;
三田さんは恵子さんの活性剤になったんですね。人間のやる気みたいなものって、思わぬところから出るんだなって思えました。
これからの恵子さんたち夫婦のあり方も、自然で素晴らしいなって感じます。
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