アンのように その13
小説を書いています。
かけがえのない日本の片隅から
アンのように その13 葛藤
正一郎が カテーテル検査という名目で入院している短い間に 心臓バイパス手術をするかどうかの決断を医師から迫られていた。
80歳を過ぎてのそれほどの大きな手術・・心臓が良くなってもそれに伴う他の臓器はいったいどのようなことになってるのか・・・
素人にはそのようなことは全くわからない。
医師は、どんな年齢でも生きることに前向きであるように奨める。
正一郎は少々自分の人生に幕引きのときがやがてくることを大きく意識したところだった。
自分の愛した日本の社会が崩れる姿を見て、よけいにもうここで自分の人生を閉じてもいいのだ、という思いに一人かられてしまっていたのだ。
「もういいよ・・私はもうこれで充分だ。」
思い悩む家族、特に長男の紘一郎に 父はそう告げていた。
紘一郎は悩んでいた。この上に大きな手術をするということは そこで命を落とすことになるのかもしれなかったからだ。
医師は絶対の自信を語ってくれたわけではないのだ。
妻恵子の病状のときも・・医師は常に厳しい内容を語り 安易な思いにはさせなかった。
恵子は若い、それでも紘一郎はどれほど彼女の命を危ぶんだろう。
その思いを病からやっと生還して1年もたっていない彼女に背負わせることへの不安もあったのだ。
つづく

絵は「ひげじい脳梗塞からの軌跡」より拝借しています。

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これまでの作品はこちらから→「アンのように生きるインドにて」
小夏庵はお休みしています。
by akageno-ann | 2010-02-10 22:41 | 小説 | Trackback | Comments(2)

ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
こんにちは!
手術っていうのにはどんな小さな手術でも
安心できませんものね…
確実といわれても何があるかわかりませんよ
手術っていうのにはどんな小さな手術でも
安心できませんものね…
確実といわれても何があるかわかりませんよ
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