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その22 他人の心がわかる

小説を書いています。

かけがえのない日本の片隅から

アンのように  その22  他人の心がわかる

日本は富んでいる国なのだろうか・・

昨今の経済の動きは素人でも不安で、そういえばここまでの生活の中で正一郎の落ち着いた家計の対処が良かったのだ。ということを恵子は感じていた。

子どもたち3人も豊かな心で暮らせたのも同居の彼らの祖父正一郎の存在があったのは間違いがない。

病院と家庭とに少し距離を置いた位置に舅正一郎はいて、恵子はいつもよりも解放感を味わいながらも、ふと手持ち無沙汰を感じていた。

この家で暮らしの真ん中にいたのは正一郎かもしれなかった、と気づかされた。

その気づきの要因は最近の正一郎の穏やかさだった。

嫁としての恵子に感謝の言葉を述べるようになっていた。

それも先日の妹克子の訪問以来だった。

克子が正一郎に助言を与えたのだろうか?

いや、恐らくあの日に克子親子をご馳走して見送ったことへの感謝なのかもしれない、

そんなことを考えながらこの数日を過していた。

正一郎の手術は行われることになった。

「頑張ってみるよ・・」

そういう正一郎は悟りを開いた者のようだった。

つづく
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これまでの作品はこちらから「アンのように生きるインドにて」

by akageno-ann | 2010-03-17 13:22 | 小説 | Trackback | Comments(2)

Commented by reikopep0510 at 2010-03-17 15:45
こんにちは。
義理の親との同居は大変そう。。と思っていました。だからこちらの主人公の恵子さんはすごいなと感心しながら、ついつい義理兄嫁と比較してしまい。。
料理はまったくせず、外で働くことが好き、同居する理由は楽出来るし金銭的にも助かるから、というパラサイト的思考なのです。恵子さんの爪の垢でも~なんて、自分をかなり高い棚に上げて思ってしまいました。
Commented by ann at 2010-03-18 23:08 x
reikoさん 義理であることの方が楽だという人もいるみたい・・
パラサイト的思考のほうが長続きする・・とも
いろいろな場合が私の頭の中にあるのですが・・どれがいいかの結論はなかなかないですね・・
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