小説 part2 祭りの夜に
かけがえのない日本の片隅からPart2
第1章 その2
祭りはそのまま夜の大イベントの盆踊りと花火大会に移っていた。
暑さのために家の中に引きこもっていた人々も、夕刻になってその坂の道を少し涼風が吹きぬけるようになり、また空気を通して盆踊りの太鼓の音も届くせいか、年配の人々も子どもたちも少しずつ櫓のある会場に集まってきた。
櫓の上ではその日一日祭りを盛りたててきたお囃子の一団が クライマックスのように演奏して集会の人々の心にエネルギーを送ってくれていた。
それは神事を司る人々のようで、お囃子を聴いていた人々も拍手しながら労を労っていた。
祭りの会場の角々に張られたテントにはささやかな酒宴の席が設けられて、皆が移動すると櫓の上では殆どが年配の女性陣が揃いの浴衣を あるいは鮮やかなフラダンスのムームーを着て 日ごろの練習を披露している。
ひとしきり会場は熱気に包まれ、そこに市長や県議会議員の人々がちょっと挨拶に廻ったりしていた。
ここの市長は既に80歳を迎えていたが、益々元気で やはり高齢化の進むこの街の人々の尚も元気な姿を激励していた。
ハナは石元夫人に再び散歩綱を引かれて会場に来ていた。
「ハナちゃん、今日もお散歩元気にしてるわね。」
とその場で近づいてきた根本さんが愛おしそうにかかんでは ハナの鼻先に慣れたように下から手を出してハナに匂いをかがせている。
『この人が私を公園で捕まえてくれた人だよ。』
ハナは根本さんの連れてきた柴犬のタロウに話しかけた。
タロウは黒柴の雄でハナとは仲のよい仲間だった。
『そうだよね、僕のまだ生まれる前の話で、前の犬がいたときだったから、根本家では飼えなかったんだよ。』
『タロウ君の前の柴犬は私と同じ雌の柴だったから、根本さんの奥さんが家に連れて行ってくれたとき、すごく吠えられたの。』
ハナはその前のことは小さかったからあまり覚えてはいないのだが、雨に濡れながらやっとこの住宅街の公園にたどり着いて、子どもたちにカンからをぶつけられたりしているところを、根本さんに援けてもらったことは良く覚えていた。
飼ってくれるという優しい女の子もいたけれど、『お家でダメって言われたみたい』で、根本さんが散歩のついでにみつけてくれて家に連れて帰ってくれたのだった。
根本さんの家の子どもたちは2匹飼おうって言ってたけれど、その時の柴犬がどうしても受け付けない、って唸っているのを見て、根本さんは石元さんに連絡したのだった。
つづく
登場人物 小説の設定は全て架空のものです。
今日はこの小説の開始を祝ってくださって ブログの友人 CHILさんが素敵なイラストを書いてくださいました。→ 『かあちゃん、あのね』へ是非どうぞ・・
現代小説にエントリーしています。どうぞよろしく!

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by akageno-ann | 2010-08-03 01:29 | 小説 | Trackback | Comments(6)
祭りの風景がなどがリアルに想像でき
その町で暮らす犬たちの事も、もおもしろくなりそう。。。
今朝これからホームの母の所に行く前に目を通しましたので
帰ってきたら、その1からまた読みたいです。
楽しみ、楽しみ。。。。
その町で暮らす犬たちの事も、もおもしろくなりそう。。。
今朝これからホームの母の所に行く前に目を通しましたので
帰ってきたら、その1からまた読みたいです。
楽しみ、楽しみ。。。。
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annさん、新しい小説が始まったんですね☆
なんともワクワクしながら拝読しました。
初めてお会いした日の柴犬のお話をさせていただいたことをまた思い出しました。
大好きなワンちゃんが出てくる小説、今後のお話もとっても楽しみです!
今日はこれから二人でお出かけしてきまーす!
用事は一休みしてリフレッシュリフレッシュしてきます☆
なんともワクワクしながら拝読しました。
初めてお会いした日の柴犬のお話をさせていただいたことをまた思い出しました。
大好きなワンちゃんが出てくる小説、今後のお話もとっても楽しみです!
今日はこれから二人でお出かけしてきまーす!
用事は一休みしてリフレッシュリフレッシュしてきます☆

ak-joyfulさん 祭りの話がコラボできて本当にうれしいです!
そして犬のことも・・これからいっぱい犬や猫や鳥や自然の中の花たちを書いてみたいです!お忙しい中に読んでくださって感謝です!
そして犬のことも・・これからいっぱい犬や猫や鳥や自然の中の花たちを書いてみたいです!お忙しい中に読んでくださって感謝です!