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小説 part2 住宅街では

小説を書いています。お立ち寄りくださってありがとうございます。

「かけがえのない日本の片隅から」prat2

第1章 その4 住宅街では

キタロウと ハナとタロウの三匹の犬たちを連れて、賑やかな夏祭りの会場から少し離れようと3人の婦人達は夜の住宅地を散歩し始めた。

「このあたりは本当に夜は静かで、落ち着いているわね」

ハナを連れている石元さんが静かに話し始めた。

「そうなんだけれど、夏の間はちょっと騒がしいことも出てきて、いろいろ問題にもなっているのよ。」
自治会会長をしている中川さんの奥さんは、日ごろ住民からの通報も、ままあるらしく気にしているようだ。

「昨日もね、車の違法駐車のことで電話があって、そう、ある家の玄関前に車を止めて1時間近くそのままだっていうのね。この辺は警察の管轄ではないから、結局主人と防犯部の方とでその家に行ったのよ。」

タロウの飼い主根本さんが興味深げに聞いてきた。

「で、車の持ち主はわかったの?」

「そうなの、二人は鼻を利かせて、近くの居酒屋に行ってみたのね・・いたのよそこに・・」

中川夫人は悪戯っ子ぽく続けた。

「夫たちは、『すいません、自治会の防犯部ですが、お車ご近所の玄関前に置いてる方いますよね。お酒が進まないうちにお帰りください。警察に届け出ないといけませんし、この店が営業できなくなりますから・・』って言ったんですって・・酒飲みの気持ちがわかるのね・・うちの主人は・・」
と、小さく笑った。

「さすがね、顔見知りではなかったのね・・それですぐに車はどいたの?」

と根本さんが聞いた。

「そうなの、二人は車のところで待ってたのね、すると先ほどの数人の客の中にその車の持ち主はいて、すぐに戻ってきたそうよ・・照れ笑いして、そこの家の奥さんに詫びを言ってすぐに帰っていったみたいよ・・酔っぱらう前でほんとよかったわね・・」

中川さんは

「そこの奥さん喜んだでしょう・・感謝感激よね。なかなか女では怖くて言えないものね。」

と、拍手喝采だと誉めると・・

「ところがそれだけでは終わらないのよ。そのあとすぐにまたその方から電話があって、私は先ほどのお礼の電話かと思って聞いてるとね・・」

と、中川夫人は首を肩にすぼめた。

「え、どうしたの?」

二人の夫人は益々興味をそそられていた。
                                       つづく

小説 part2 住宅街では_c0155326_23234320.jpg

「かあちゃん、あのね」のCHILさんがこのブログの為にイラストを描いてくださいました。

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by akageno-ann | 2010-08-04 23:26 | 小説 | Trackback | Comments(4)

Commented by nanako-729 at 2010-08-05 09:34
annさん、おはよう!
あぁ~気になるところでお話が終わってる…
早く続きが読みたい~~~笑


夜まで待ってます!!!(〃⌒∇⌒)ゞ

Commented by ak-joyful at 2010-08-05 17:35
私も気になる~!
なんだろう、どんな電話なんだろ....?
Commented by akageno-ann at 2010-08-05 22:09
nanakoさん、朝から覗いてくださってありがとう!
Commented by akageno-ann at 2010-08-05 22:09
ak-joyfulさん、小夏の布絵をまた載せさせていただきました!
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