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小説 part2 関わり合う

小説を書いています。

「かけがえのない日本の片隅から」prat2

第1章 その5 関わり合う

3人と3匹は夜の住宅街の散歩をしながら話を続けていた。

「で、お礼の電話ではなかったの?」

中川夫人の答を急かすように二人は歩を緩めていた。犬たちも静かにそれに伴われている。

「型通りのお礼の言葉はあったのだけど、それから・・と話を繋ぐのよ。・・何か?と聞くとね、『ついでにもう一つお願いがあるのですが・・』というのね・・」

根本さんはあきれた顔になって、

「そんなついでにというのは失礼だわ・・」と声のトーンが高くなった。

中川夫人は続けた。

「そちらのお宅にも犬がいたのね、雌のワンちゃんを庭で飼っているらしいの。でね、他所の牡犬が入ってきて困る、なんとかならないか?というのよ。」

石元さんは声に少し怒りをこめて

「なんという図々しい話なの?」

というと、中川さんは待ってましたとばかりに

「そうでしょ?私も一瞬不機嫌な声になったかもしれないの。でもね、どんなお願いも一応は聞いておこうというのが主人の考えだったのを・・まあ・・なんとか思い出したので・・赤ちゃんができたことがあるのですね?・・と聞いたの」

聞いている二人は「うん、うん、」と言って頷きながら聞いている。

「結局そんなことはなかったんだけど、声が気になったりしたんでしょうね、一応お話は伺っておきますが、うちにも犬がいますが、先ずは外から犬が入り込めないようにしてみていただけますか?・・とだけ繋いだの」


「まったくね~~・・自治会長にそこまで面倒見させるなんて・・大体飼っているものの責任じゃないの?」

石元さんは開いた口が塞がらない、というように語った。

「まあ、そのあと会報の隅にいつも『犬や猫の放し飼いをやめましょう』は入っているでしょう?それくらいはおさえておこうということになったのよ。」

動物を飼うということのルールの徹底は日本は少し緩いかもしれない、と3人はそれぞれの飼い方を確かめながら話し合っていた。

公園にさしかかると、賑やかな子どもたちの花火に出会った。
中学生だろうか?数人で十連発花火などをやっている。

中川夫人は仕方ない、という風にそのまま公園に入って行った。
そして子どもたちの傍に向かっていた。

二人もそれについていくことにした。

小言をいうのではなく、見守ろうとしたのだった。

子どもたちに何か小言を言っても効果もなく、大人3人と三匹の犬たちがそれを遠巻きに囲んで 少し静かに 花火を楽しませて帰そうということにした。

今夜は祭りの夜で、地域の子どもたちの帰宅時間もいつもより緩くなっていた。
                                                 つづく

登場人物と設定などは全て架空のものです。
小説 part2 関わり合う_c0155326_21581225.jpg

ak-joyfulさんによる愛犬をモデルにしていただいた布絵です。

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by akageno-ann | 2010-08-05 22:01 | 小説 | Trackback | Comments(11)

Commented by ak-joyful at 2010-08-05 22:49
わたしも思わず うん、うんと、うなずいて中川さんの話に引き込まれてしまいました。
私の家の周りでは野良猫が毎晩喧嘩の声がうるさくて、
無責任な餌やりが問題になっています。。。
Commented by ka-chan-anone at 2010-08-05 22:57
私の住む住宅街でも、ペットの飼い方や公園の使用方法で
いろいろあります。
自分が自治会副会長になったときにわかりました(^^;)
住宅街に住むといろいろありますね☆
身近な話題でおもしろいです(^^)
Commented by marimari at 2010-08-06 01:08 x
自治会長になると色々な意見を耳にするようですねっ私はまだ会計担当の経験のみですが、
昨年、実家が自治会長で
ちょうどこの夏休みの盆踊りの準備で忙しい様子を耳にしていましたからそんなことも思い出しながら拝読しました。
父のみでなく母もお祭りでは焼きそば焼いたり後片付けも大変だったけど楽しかったそうな♪
犬を連れていると普段から挨拶ついでにいろんなお話もできるようですねっ
父もtoto繋がりで皆さんとよく立ち話するようです。犬の飼い主のしつけやマナーもそれぞれのようですね今後のお話も楽しみにお邪魔しまーす!
Commented by nanako-729 at 2010-08-06 01:17
そうですね、飼い主の方のマナーで気になるところは多々ありますね。
全部の方がそうという訳ではなく、たぶん一部の方なんでしょうけど…
身近なお話にうなずいてしまいました!
Commented by reikopep0510 at 2010-08-06 08:35
おはようございます。
私も犬を飼っているので、マナーに関しては、気をつけていてもご近所に迷惑をかけているのだろうなと思いました。周りはご年配の方ばかりなので、とても温かく接してくださるのですが、ふとした時に、迷惑をかけていることがわかったりして。
私も週に二日ぐらいしか家に帰宅するチャンスがなかったり、主人もほとんど留守だったりで、ラウナがいるときは、吠え声でも随分迷惑をかけておりました。
最近は竹をかなり伐採したのですが、周りの方のお掃除も大変だったみたいで、イロイロ気づかされる夏です。
Commented by akageno-ann at 2010-08-06 14:47
皆さんのコメントを読ませていただいて、色々な形でペットの飼い方についてまた自治会の経験などお考えを寄せていただけたこと、書いていて大変あり難くて、これから続ける小説の上でもまた大いに考えさせていただきたいと思いました。
立場が違うと考え方も異なり、私はそうであっても拘わりあって考えていくという個人の洞察が大切なのだと思っています。

一方通行でなくて話し合う場があればきっと生きていく上に日本はまだまだ良くなっていけるしいくべきだ・・と思っています。

育っていく若い人たちのためにも大人の取るべき態度など考えることが山積しています。

これからも読んでいただけるだけも嬉しいですが、ふとコメントにお気持ち残していただけたらそれは本当に有り難いです。
よろしくお願いします。
Commented at 2010-08-06 16:08
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2010-08-06 16:11
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by akageno-ann at 2010-08-06 18:21
鍵コメさん・・・お二人ともひさしぶり・・
また小説はじめちゃったんですが・・気楽に覗いてくれたら
嬉しいです!
日本の片隅から感じたこと発信していきたいです。
よろしく!
Commented by maribaba at 2010-08-06 19:53 x
ペットを飼うというのは、安易な気持ちで飼って
欲しくないですね。ご近所に迷惑をかけないこと
や最後までみとってあげるという強い気持ち
が必要ですよね。
Annさん今4位なんですね。
この小説面白そう。またおじゃまさせていただきます。 
Commented by akageno-ann at 2010-08-06 23:32
皆様応援をありがとうございます。
どうか気楽にお立ち寄りいただいて読んでいただければ
最初からでなくてもわかる小説にしています・・
どうぞよろしく!
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