ゆるく暮らす その6
小説を書いています。
気楽に立ち読みしてください!

「かけがえのない日本の片隅から」 part2
第2章 ゆるく暮らす その6
ハナは散歩が好きだが、年をとってからすぐ息切れするようになった。
石元夫人は そんなハナを気遣って、ゆっくり休み休み歩いていた。
公園あたりでのんびりしていると、たいてい知り合いの犬連れの人と出会った。
その日は隣の住宅地の柴犬の女の子レイちゃんが来た。
レイちゃんはとてもきれいな犬で、連れているおかあさんもすごく綺麗な人だ。
そしてとても優しい人だった。
挨拶のあとに、レイちゃんのおかあさんはちょっと寂しそうな顔をして
「ハナちゃんのおかあさん、ご存知ですか?昨日お散歩途中の柳さんが急に心臓が悪くなったようで倒れられ、偶然居合わせた私たちで救急車を呼んだのですが、今朝方お亡くなりになられて・・・」
というのだ。
「え?柳さんたしかお一人住まいですよね。お子さんたちは間に合われたの?」
と石元夫人は聞き返した。
「ええ、幸い携帯電話をお持ちで、そこからすぐにお嬢さんに連絡できたので、間に合いました。
しっかりしたお嬢さんで私たちにとても感謝してくださって。お母様と一緒に住みたかったようですが、この土地でもう少し犬と一緒に暮らしたい、とおっしゃってたそうですね。」
それを聞いて、石元夫人はうなづいた。
「そうでしたね、もう80歳でいらしたけれど、ペキニーズのギニーちゃんとほんと元気な足取りで歩いていらして、この土地が好きでいらしたのよね。そうでしたか・・苦しまれたの?」
レイちゃんのおかあさんは
「それが最初に胸を押さえて倒れこんだのだけれど、じきに昏睡状態になって、そのまま目覚めることはなくて・・そのことは残念なのだけれど、あまりくるしまれなかったようですよ。」
と、様子を知らせた。
ふたりは、そういう最後は天寿全うされた、ということですね、と故人を偲び、また故人を慰めたのだった。
犬との暮らしのためにこの地に長く一人になっても過しているお年よりは年々増えている。
住宅事情が都心とはあまりに異なる環境であるが、この地を愛する人が増えたのは嬉しいことだった。
二人の話からハナはペキニーズのギニーちゃんのことが気になった。
小さな体で元気いっぱい動いて、ハナが近づくと嬉しくてぐるぐるまわるので お年寄りの柳さんを困らせるので、ハナのお母さんはいつも近づかないようにしていたのだった。
レイちゃんとハナはギニーちゃんのお母さんの柳さんの冥福と ギニーちゃんのことを思った。
つづく

『いっちゃんの美味しい食卓』のアイドル・スター君の写真を拝借しました!スター君の小さいころと出会えます。
ワンちゃんブログへも是非→We love Ducky
現代小説にエントリーしています。どうぞよろしく!

にほんブログ村
by akageno-ann | 2010-08-17 00:19 | 小説 | Trackback | Comments(7)

ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
わーっ.....
飼い主を失ったギニーちゃんどうなっちゃうのかしら。
私は愛犬に先に行かれるのは悲しいけど、残して逝くのは
もっと辛いな....
飼い主を失ったギニーちゃんどうなっちゃうのかしら。
私は愛犬に先に行かれるのは悲しいけど、残して逝くのは
もっと辛いな....
0

ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。

ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。

ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。