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かけがえのない日本の片隅から part2 最終回

犬のいる生活を中心にしたお話を書かせていただきました。
ここ一ヶ月容態が不安定だった叔父が亡くなりました。
舅の弟で素晴らしい人でした。
優しい人で「捨て猫もほっておけないで餌付けしてしまったんですよ、手術もね・・」
と話したときがお元気だった最後の会話だった・・と ふと思い出しました。
病身の兄を大切に思いよく見舞ってくださり、嫁の私を誉めて励ましてくださいました。

家庭でもそういう方だったのでしょう。妻である叔母はそういう家庭人として優しかった叔父の夫としての思い出を熱く語りました。
恐らくはとても意気消沈している心を奮い立たせての言葉のようでした。
冥福を祈りつつ、思い出を大事にしていきたいです。

最終回になりました。お付き合いくださりありがとうございます。
少し時間をかけて追記てきに最終回を書かせていただいてます。

かけがのない日本の片隅からpart2
犬のいる生活 最終回 その街も成長する

動物と人間との関わりは自分で作ろうとしなければ起こらないと思う。

例えば拾い犬をする、動物の保護団体から里親として動物を引き取る、そういうことは初めて動物を家庭に入れようとするときに、かなり大きな覚悟を必要とすることがある。

幼い頃に動物と暮らす経験のあった者はさほどではないかもしれないが、大人になってから動物と身近に触れ合うという経験をする人々も決して少なくない。

子どもがいる、とか老人がいるから、とか動物アレルギーだったり、いろいろな問題があって、新しく迎えることへのある種の不安があるのだ。

飼ったものが少し獰猛だったりすることもないわけではない。

一度飼ったら絶対に最後まで面倒をみるという覚悟も大事だと思えるし・・

だが、先ず大事なのは第一印象。

石元夫人が最初にハナを飼ったのは、とにかくハナが可愛い表情の犬ですぐに愛おしさがもてたのだった。

一生懸命世話をし、飼っていくうちに、なくてはならない存在になることは前にも話したが、そんな状況の家庭を他でも随分とみている。

三世帯同居の家庭では世代を超えて皆飼い犬を可愛がり、その犬のことで会話が盛り上がるという。

夫婦喧嘩や兄弟喧嘩をしていると怖がったり心配して家の隅に行ってしまう犬もいたり、家出してしまうものもあると聞く。

その犬の意思表示によって家庭内が何となく上手く収まるのだ、石元夫人は思うのだった。

犬に限らない、犬は飼うということにマナーを守ったりしつけたりというプロセスがいいのだ。
散歩もあっていぬ仲間が増え、最近はブログを通しての犬の会話が増えている人もいるのだ。

自分の犬の可愛さ自慢をするのも楽しいようだ。

人の犬の様子を写真で知って、癒されたり亡くした犬の思い出を楽しめたりするという話もある。

ここの土地は山も川もあって、犬の散歩には持ってこいの場所だった。

石元夫人は最初犬の散歩をしている人たちをみて、「大変でしょう、毎朝毎夕の散歩は」と他人事に思いながらも羨ましさもあったのだった・・

ハナは捨て犬であったために避妊手術もされていなくて、子供を産んだ形跡もない、と獣医師に言われていた。

そのせいもあるようだが、内膜症を患っていた。出血もあって病院に駆け込んだこともあり、我慢強い犬であったが、医師によると痛みがかなりあるという。

手術をすることも言われていたが強い全身麻酔が心配だといわれ、優柔不断に過していたのだ。

そうこうするうちにハナは食欲が落ちてぐったりするようになった。

痛みに耐える姿もあるので病院に連れて行くと、「このまま膿を搾り出します、」と言われた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ハナのその時のうめき声を石元夫妻は決して忘れることができなかった。
弱っていたハナ・・その処置のお陰でハナの病状は快復したのだったが、ハナはあまりの痛みを耐えたせいか少し恐怖感を覚えさせてしまったようだった。

その後半年後にハナは痴呆のようになって石元夫人のこともわからなくなってしまった。
哀しくて心が塞いだが、こうなってしまったことさえもあの時の痛みを味あわせてしまったという後悔とこれまでに愛らしさで家族を癒してくれた思い出が蘇り、愛おしくてしかたがない。
石元一家は家族全員がハナを見守ろうとしていた。

その家族の気持ちの中に次第に新たな結束力が生まれているのも確かなものであった。

季節が少しずつ変化する日本の四季は秋から冬に向かい、様々な動物たちも冬支度を始めている。

それとともに人もまた新しい時を迎える準備をする日々を過している。

この街は遅い台風の訪れに雨に降り込められた犬たちをほんの少しの雨の降り止みを見計らって一斉に外へ出る。

犬たちは雨具を着ているものもいる。

大切にされている犬の様子をみていると何故かほっとする時代の流れがここにはあるような気がしていた。
                           part2 犬のいる生活  了


お読みいただいて本当にありがとうございました。
物語はフィクションです。
犬を飼うとき読んでおくといいサイト→日本警察犬協会HP「犬との共生に必要なマナー」

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今日はハロウインということで日本のあちらこちらでも可愛いお子さんたちの仮装の姿を目にしました。集まって楽しんだようですね!
私の紅茶の師匠は素敵なハロウインパーティをたくさんアップしてくださってます。

ご覧になって楽しんでくださいね→☆

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by akageno-ann | 2010-10-30 23:19 | 小説 | Trackback | Comments(13)

Commented by sarisukemama at 2010-10-31 02:41
ねえさん、うんうんと頷きながら読みました。本当にいろんなことに。そういえば、我が家のベルも私が子供たちに怒ったりしてるときは背中を丸めて小さくなって心配そうに端っこからこちらの様子をうかがいます。

犬って本当に家族の一員ですよね。我が家はベルがまだ成犬であっても若いから、楽しいことがほとんどなんですが、知り合いの年寄りのワン子ちゃんを見たりすると「私も最後までちゃんとベルをみとってやりたい。私にもちゃんとできるのか?」と自分に問いかけたりします。今までこんなに励ましていやしてくれたベルにいつかそういう形で恩返しができる日がくるのかな。私にはそういう芯の強さがあるのかなと自分に問いかけたりします。

そして最後になってしまいましたが、 姉さん、叔父さまのこと心からお悔やみ申し上げます。たまに姉さんのブログで垣間みる叔父さまのおおらかであたたかい人柄に私もひかれる思いがしたことを覚えています。どうか残されたご家族の上に平安がございますように。
Commented at 2010-10-31 03:10 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2010-10-31 09:55
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by Nobue at 2010-10-31 13:09 x
叔父様の事、とても残念ですね。
心よりご冥福をお祈りいたします。

ワンコは本当に良く私達を癒やしてくれますね。だからこそ、出来るだけのことをしてあげたいと思うのは、飼い主の皆に共通する想いだと考えます。
Commented by ann at 2010-10-31 17:10 x
さりちゃん、暖かいコメントをどうもありがとう!
最初の小説のときにもずっと見守ってくださってこうして最後の日にたくさんの共感をくださったことを思い出しています。
犬によって変化する心っていうのはわかっていたけれど、犬に救われていることって大きいなあって・・それは動物や人とのふれあいに必ずあるもので、ときに深く感謝したくなりました。
叔父も大変な動物好きな優しい人でそのこともこうしてここに書けることを嬉しく思いました。
貴方への感謝も深いです!ありがとう!
Commented by ann at 2010-10-31 17:10 x
カギコメ様ありがとうございます。
そちらに伺いました。
Commented by ann at 2010-10-31 17:12 x
Nobueさん、ありがとうございます。
叔父は丁度80歳の自身の誕生日に静かに旅立ちました。
ワンコへも思いも様々に共通するものがありますね!
Commented by flyrobin at 2010-11-01 02:08
叔父さまのご冥福を、心からお祈り申し上げます。
annちゃんを励まし応援して下さった心優しい叔父さまの存在は時として、annちゃんにとって、さぞかし有難いものだったでしょうね。

犬を飼ったことがあるヒトにとっては、annちゃんの小説は、少なからずとも思い当たることばかりですね。こちらを通してさりげなく紹介なさっている犬を飼う時に読んでおくといいサイトの紹介など、さすがだな~と感心させられました☆
Commented by snowdropcafe at 2010-11-01 08:34
叔父様のご冥福、心よりお祈り申し上げます。

実は私も先週、叔父を亡くしました。いつも交流があったわけではありませんが私共にとっては大きな存在の方でした。

お話変わって、ミンミンさんのハロゥインパーティー、素敵ですね。私が参加させて頂いた回とは又趣が変わっていて…クリスマスも楽しみですね
Commented by marimari at 2010-11-01 09:43 x
annさん、
叔父様とのお別れだったのですね
心より ご冥福をお祈り申し上げます

annさんの小説から
犬と人間との関係について改めえて考える時間になりました。
そして 悲しいお別れの場面が印象に残る思い出も
若かったコロとの思い出も
拝読しながらたくさん思い出しました。
↑ほんと犬って家族の喧嘩の間にも入ってくれますものね。
姉と私が喧嘩を始めると
ジャンプして止めに入っていたことを懐かしく思い出しました。
なぜか いつも姉の方の味方になることが
多かったような気がしますが(笑)
↑石元一家にとっても
ハナの存在はとっても大きいですね。
Commented by akageno-ann at 2010-11-01 20:45
ロビンちゃん どうもありがとうございます。
今日はコーラスのとき指揮をしながら泣いてしまいました。ちょうどとてもピッタリの歌で・・良い叔父でしたから。
犬の飼い方は私もまだまだだめなんです。
それでこれから飼う方たちに少しでも何かお役にたちたくて・・このサイトも教えていただいたんですよ。
今でも時々読むと何かに気づかされます。
Commented by akageno-ann at 2010-11-01 20:47
snowdoropさん、そうだったのですか・・叔父様のこと
大きな存在であること・・今日私もつくづく感じさせられることがあり・・
お互いに、叔父の冥福を祈りましょう。
ミンミン亭の講座は本当に私を楽しませてくださいます。楽しみな企画ばかりですね。
Commented by akageno-ann at 2010-11-01 20:50
marimariちゃん、ご自身の思い出と一緒に読んでくださってありがとう!犬との生活が若い頃になかったことをとても残念に思いました。
動物と過すことの大切さを感じています。
見ているだけで癒されるのです。
叔父のことで家を留守しましたが、ちゃんと留守番してくれました。叔父も動物が大好きだったのです。
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