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かけがえのない日本の片隅から LIVE no.11

小説を書いています。

小説の最初はこちらから→☆

かけがえのない日本の片隅から 「生きる」ということをテーマに書かせていただいてます。

LIVE no.11

その日は暑い夏が一区切りついて、直子の高校2年の夏休みが終わりに近づき、9月の文化祭で弾くピアノの連弾の練習を熱心にしていた。

曲はドビュッシーの小組曲「小舟にて」など有名な曲があり、その美しい旋律に直子は心楽しい中での緊張感を保っていた。

その日は、母とピアノ演奏のときのドレスを都心のデパートに見に行く約束をしていた。

母はこの衣装決めを楽しみにしていた。

直子が少し困ったのは、その頃になって母の趣味と自分の趣味が異なっていることだった。

直子はシンプルで地味目な色合いのスカートの裾の広がらないものを好み、母はふんわりした、ジョーゼットの明るい色を選ぶのだった。

新宿のT百貨店が品揃えが多い、ということで、学校での友人との合わせのレッスンを終えて、4時にその売り場で待ち合わせをした。

4時きっかりに直子は到着したが、母はもちろんのこと先に来て、既に店員と話をしている。
恐らくは直子自身の話をして、候補を決めているに違いなかった。

そんな予想の通り、母は一つはエンジ色のオーソドックスな形ながら、ふんわりといかにもお嬢さんという印象をもたれるであろうようなドレスを選んでいた。

直子もそれはさほど嫌でなかったので、試着をした。

店員は今度は全く反対のイメージのグレーでしかしラメの入ったような光る生地でシンプルなAラインのミモレ丈のドレスを持ってきた。

正解であった。何も言わず、母もそのグレーを着た娘直子がとても大人っぽく清楚に見えたことに驚いていた。

「さすがですね、この子を見て選んでくださったの?」

母はそうその店員に聞いていた。

「今の若い方の流行でもあるのです。シンプルな洋服に髪型を少し豪華にしたりアクセサリーやショールなどで変化をつけるという工夫をされるんですね。」

店員は謙虚にそう応えた。

思っていたよりもあっさりとドレスが決まり、微調整をしてもらうべくドレスを預けて、二人はデパートの4階にある老舗のフルーツパーラーに寄った。

甘い美味しいものを食べるときはその母娘は簡単に心が一致するようで、二人で楽しくティタイムをとることができた。

だが、その母娘のティタイムは、おそらくそれがしばらくは行われないようになってしまうのだった。

                           つづく→☆物語はフィクションです。

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こんな風に癒しの目を向けてくれるのは →We love Ducky
覗いてみてね!

by akageno-ann | 2010-11-23 21:58 | 小説 | Trackback | Comments(10)

Commented by fran at 2010-11-24 00:04 x
今日も寒い一日だったね、風邪引いてない?

今とっても流行ってるから人込みに出ないでね^m^
We love Duckyちゃんへ、東北の紅葉を紹介してもらいに
行ってきます!
Commented by ducky2010 at 2010-11-24 22:54
franちゃん 京都の秋素晴らしかったわね~~
写真に感動しましたよ!
Commented by marimari at 2010-11-25 09:22 x
annさんおはようございまーす♪
今朝も早め早めの行動の私は講座時間前に近くのカフェでコーヒータイム中です。満員電車の後のこの少しの時間がこのまま直行するのより少し気持ちをゆったりさせることができて、いいかもなんて思いながら♪アンさんの小説を拝読中~姑さんは孫の演奏会に足を運ばれほんとよかったですねっ心に響いたんだでしょうね。
↑ドレスのイメージ、見るのと着てみるのはまた違いますもんね。その人に合うものをお選びくださる店員さん、流石☆
Teaタイム、これからどうなるんだろ?また続きを楽しみにしていまーす。
では、そろそろ行ってきます!!
Commented by morinokochaorin at 2010-11-25 21:26

annさんもお茶なさっていたのですね。だから、紅茶もお好きなのかしら?ドレス・・・ね・・昔ベトナムでシルクのイブニングを試着したの。とっても素敵で好きだったけど、こういうのは着る機会もないと買わずに帰ってきて・・・後悔・・だって1万だったから~笑
Commented by CHIL at 2010-11-26 22:59 x
母と娘、女同士のティータイム☆
いいですね(^^)
息子ばかりでこれは叶わぬ夢だけど、
私も娘だった。また子育てがひと段落したら
母と2人で出かけられるかな(^^)

でも・・・この小説の最後の1文、
気になります。何が起こるのでしょうか。。
Commented by nanako-729 at 2010-11-27 09:57
annさん、おはよう!
ピアノの発表会用のドレス…私も娘用に用意したことが
あって自分達と重ねて読んでいます!
小学生の頃は私のイメージで選んでいましたね!
中学になる頃には私の意見は通らなくなりましたが…

5歳からのピアノを今年の8月でお休みにしました。
音楽科に進学ではなさそうなので~♪
お話の続きも気になります(*⌒∇⌒*)
Commented by akageno-ann at 2010-11-27 20:00
marimariちゃん・・さすがの指導教師・・
ゆったりとした気持ちで・・そういう心がけって大事ですね!私も見習おう!そう思ってます!
ドレスを選ぶって人のでも嬉しいですよね!
Commented by akageno-ann at 2010-11-27 20:01
morinokoちゃん・・それは残念・・素敵なシルクだって
想像できます!私もその感じで青のシルクのサリーをインド時代に買いましたが・・・今も大事にしてます・・
多分着られると思うの・・年をとっても・・笑
Commented by akageno-ann at 2010-11-27 20:06
CHILちゃん・・・いよいよ始まります
私の小説の真髄です。応援よろしくね!
Commented by akageno-ann at 2010-11-27 20:07
nanakoちゃん、お嬢さんかなり弾かれますね
無駄にならないと思うな・・音楽って人生にとても大事なことだって思ったところなの・・弾けるってうらやましい・・
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