LIVE 第二部 波乱万丈な人生の幕開け
これまでのお話
片山悦子は姉牧子の妹としてのんびりと目立つことのない幼少期を過した。
その保護されたような暮らしに不満を持っていたわけではなかったが、他家へ嫁いだ姉が殆ど実家を振り返らなくなって、実の両親への愛情の薄さに寂しさを覚えていた。
その想いがそのまま彼女を結婚から遠ざける一要因にもなっていた。
しかし姉やその家族、とりわけ姪にあたる直子への愛情は深く、自分も進みたかった音楽の道へ直子を導いたのも悦子だった。
意外にもそのことに熱心になった姉牧子に再び姉妹としての心がつながり喜んでいる悦子だった。
かけがえのない日本の片隅から
第二部波乱万丈な人生の幕開けno.1 忘れられないその日
片山悦子は43歳の夏を迎えていた。看護士としても責任ある立場にいて、病院は三箇所目になっていた。ここはあきらかに引き抜きによって招かれた病院だった。
関東にありながらも交通の便が悪く、最初この病院にこれだけの優秀な医師を集めてもどれほど患者が廻ってくるかは疑問視されていた。
だがこの時代口コミの紹介は病院探しの患者サイドには場所の不便さなど関係がないようであった。
また医院や医師の紹介状が必要であることもかえって信憑性があり初診の申し込みは引きも切らない状態にあった。
悦子の勤務体制も新人看護士の指導もあり、日々多忙を極めていた。
その夜は夜勤であり、ここのところ絶える事のない急患の搬送が必ず今夜もある、と覚悟して勤務についていた。
第一報は専用電話による連絡だった。
「年齢48歳 女性 脳梗塞または脳内出血による意識障害とみられ、体全体に痙攣があるもよう。そちらの病院に看護士の家族がいる、と言っています。」
皆スタッフは凍りついた。仕事としての病人への対処はどんなに慣れていても、自分の家族となるとまた違う意識が働き人によってはかなり臆病になる者もあるのだ。
その中でそれを聞いていた悦子は ふと同い年の姉 佐藤牧子のことを思った。
「受け入れます。」と電話で悦子は即答した。
誰であれ、今夜の最初の急患であった。
他のスタッフに医師の手配、緊急手術の可能性もあるので麻酔医師への連絡などを手際よく支持した。
『もしも自分の家族であっても冷静に対処しよう・・』
そう決意を持って急患の受け入れ準備に入った。搬送に40分を要するという。
距離的にも姉である・・と思えた。
そのとき、携帯に連絡が入った。
つづく
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by akageno-ann | 2010-12-02 12:08 | 小説 | Trackback | Comments(4)
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nanako-729 at 2010-12-02 22:11
annさん、こんばんは!
ドキドキしながら読みました!
状況が頭の中に浮かんでくるようで
annさんの文章に引き込まれてしまいました!
続きが楽しみです!
ドキドキしながら読みました!
状況が頭の中に浮かんでくるようで
annさんの文章に引き込まれてしまいました!
続きが楽しみです!
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ka-chan-anone at 2010-12-02 23:20
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akageno-ann at 2010-12-03 20:15
nanakoちゃん もったいないお言葉・・@@
嬉しいです!素直にいただきます!
嬉しいです!素直にいただきます!
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akageno-ann at 2010-12-03 20:15
CHILちゃん・・かつて貴方とであった頃も思い出しつつ書いて行きます・・よろしく!