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第二部 no.3 ママは死なない

かけがえのない日本の片隅から
LIVE 第二部 no.3 ママは死なない。

母親の名を呼び続ける 娘直子の声がしばらくの間 救急救命室の前の待合室から聞こえていたが、その声もかき消されるほど牧子の病状に対する処置が慌しく行われた。

直子も途中からその患者を姉だとは思わないようにした。

それは意外にたやすいことだった。
逆に言えば その方が自然だった。
その患者の姿は姉のようでは全くなかったのだから。

幸いにもこの病院には心臓外科 脳外科 消化器外科の医師が常駐し、そのほかに麻酔科 各医療機器の技師が24時間態勢で常駐していた。

従って カテーテル検査もすぐに行うことができ、牧子の病状が単純な脳血管からの脳内出血であることが判明した。つまり蜘蛛膜下出血のような危険性はないことがわかった。

だが、風呂場で倒れた時のダメージが大きくて、そのために起こった脳内出血の量が多く、その血液が既にゼリー状に固まり脳内の圧迫が大きくなっていることがわかっていた。

危険な状況はまだまだあり、脳内の血液の固まりを除去する緊急手術が行われることとなった。

病院では更に自宅待機中の脳外科の医師の出勤を要請した。

こういう日は、また他にもどのような救急患者が搬送されるかわからない。

そしてここの病院は手術室は複数あり、まだまだ受け入れることが可能であった。


手術が行われると決まった時点に 牧子と悦子の両親がタクシーで到着した。

少しいつもより年老いて見えたのは、時間が遅かったという理由だけではない。

それでも両親は毅然と構えていた。

その頃には娘直子もすっかり落ち着き、祖父母にあたる二人に

「おじいちゃん、おばあちゃん、大丈夫!! ママは絶対助かる。ママは死んだりしないから。」

と、勇気付けているようだった。

そしてそのことを直子同様悦子も強く感じていた。

                                    つづく→→☆
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by akageno-ann | 2010-12-07 23:02 | 小説 | Trackback | Comments(4)

Commented by marimari at 2010-12-08 00:02 x
ドキドキ拝読しました。
緊急手術・・・続きが気になります。

今日のannさんのお話しにあった
人はいつ突然どうなるかわからないというお言葉を
思いだしながら 拝読しました。
ほんと病気ばかりは 蓄積したものがドンときちゃう場合や
突然という場合もあり 周りも予測できませんものね。
Commented by nanako-729 at 2010-12-09 20:48
annさん、こんばんは!
緊迫した様子が伝わってきます!
みんなほんとは明日のこと、一時間先のこと、
何があるかわかりませんよね!
牧子さんの容体が気になります。
Commented by ann at 2010-12-09 23:08 x
まりまりちゃん・・ドキドキさせたまま待たせてごめんなさい・・続きを書きますね
そして・・やはり「まさか・・」はたまにあるのだと・・今日
瀬戸内寂聴さんの言葉にも発見しました。
Commented by ann at 2010-12-09 23:08 x
nanakoちゃん・・いつも読んでくださってどうもありがとう
とても励みになってるの・・続けます・・
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