2011年 01月 25日
第3章 LIVE no.3 努力
小説「かけがえのない日本の片隅から」第3章です。
ながらくお読みいただいて感謝しています。
LIVE 第3章 no.3 努力
悦子は 姉牧子の看護と介護について初めて本当の努力というものを知った気がしていた。
看護士になるための学びの努力でもなく、病院の看護士としての日々の努力でもなく、
最愛の家族をこうして無償の愛情でみつめている今、本当の努力をしていかねばならない、と
痛切に感じていた。
だが、仕事の延長にこうして家族を看ることの心の辛さはどうしたらいいだろうか?
見えない未来を不安におもうことばかりだった。
「片山君、どうだ?今日は久しぶりに一緒に食事でもしよう。」
そう声をかけてくれたのは医局の大先輩で、悦子が自らの水先案内人と勝手にきめている
笹島だった。
笹島は最愛の妻を亡くしていることは病院スタッフの中で周知のことであった。
「ありがとうございます。是非・・」
そう悦子は素直に応えていた。
勤めている病院は郊外にあり、その近辺に気の効いた店がないので、病院スタッフは病院から出ている循環バスで私鉄沿線駅まで出るのである。
笹島と悦子はその日は日勤で午後6時にそのバスに乗って共に帰途についた。
「今日は何を食べる? 疲れているだろう・・」
笹島のその声にふと癒されていることを感じる悦子だった。
「考えてみますと、最近こういうきちんと食事するということを忘れていたみたいです。
あまり肩のはらないところがいいです。」
そう悦子が応えると 笹島はわかった・・という風に少し笑ってバスを先に降りて行った。
悦子も自然にあとからついていく形になった。若い看護士たちが一緒に乗っていて、
「笹島先生、お疲れさまでした。」
と、口々に声をかけていた。そのずっとあとから悦子は降りてついていった。
つづく
ご高覧に感謝いたします。

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LIVE 第3章 no.3 努力
悦子は 姉牧子の看護と介護について初めて本当の努力というものを知った気がしていた。
看護士になるための学びの努力でもなく、病院の看護士としての日々の努力でもなく、
最愛の家族をこうして無償の愛情でみつめている今、本当の努力をしていかねばならない、と
痛切に感じていた。
だが、仕事の延長にこうして家族を看ることの心の辛さはどうしたらいいだろうか?
見えない未来を不安におもうことばかりだった。
「片山君、どうだ?今日は久しぶりに一緒に食事でもしよう。」
そう声をかけてくれたのは医局の大先輩で、悦子が自らの水先案内人と勝手にきめている
笹島だった。
笹島は最愛の妻を亡くしていることは病院スタッフの中で周知のことであった。
「ありがとうございます。是非・・」
そう悦子は素直に応えていた。
勤めている病院は郊外にあり、その近辺に気の効いた店がないので、病院スタッフは病院から出ている循環バスで私鉄沿線駅まで出るのである。
笹島と悦子はその日は日勤で午後6時にそのバスに乗って共に帰途についた。
「今日は何を食べる? 疲れているだろう・・」
笹島のその声にふと癒されていることを感じる悦子だった。
「考えてみますと、最近こういうきちんと食事するということを忘れていたみたいです。
あまり肩のはらないところがいいです。」
そう悦子が応えると 笹島はわかった・・という風に少し笑ってバスを先に降りて行った。
悦子も自然にあとからついていく形になった。若い看護士たちが一緒に乗っていて、
「笹島先生、お疲れさまでした。」
と、口々に声をかけていた。そのずっとあとから悦子は降りてついていった。
つづく
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annさん、おはようございます。
小説、楽しみに拝読しています。
本当の努力かぁ・・
とても覚悟が必要となってくる努力なんでしょうか。
また続きも 楽しみにしていま~~す。
今日も素敵な1日をお過ごしくださいませ♪
小説、楽しみに拝読しています。
本当の努力かぁ・・
とても覚悟が必要となってくる努力なんでしょうか。
また続きも 楽しみにしていま~~す。
今日も素敵な1日をお過ごしくださいませ♪
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応援に感謝してます!
つづけますね・・
つづけますね・・
by akageno-ann
| 2011-01-25 08:08
| 小説
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Comments(3)