アンのように生きる・・・(老育)

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かけがえのない日本の片隅からの発信をライフワークとして、今は老いていくにも楽しい時間を作り出すことを考えています。

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no.11 新しい三角関係

小説「かけがえのない日本の片隅から」第3部です。
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LIVE 第3章 no.11 新しい三角関係

姉牧子の病状はゆっくりと少しずつだが回復の兆しを悦子は看護士として感じていた。

その微かな期待はこれからの悦子の人生に大きな影響を与えた。

医師の向井からの求婚は、忙しさによるすれ違いで、何も進展しないどころか、むしろ遠のいているような気配があった。

悦子は先日の 上司である医師笹島との夕食のひと時が今の自分をどれほど勇気付けてくれたかをわかっていた。

結婚するとかどうとかいうことは今の悦子には煩わしさにもなっていたのだ。
女が仕事を真剣に進めていくとき、家庭というのは大きな荷物になってしまうことがある、と姉を見ていて思った。

姉はそれなりに幸せで家業の印刷業を影で支えている、という自負もできてきていたところだった。

子供も三人それぞれに成長させて、末娘の直子の音楽家としての成長をひたすらに楽しみにしていた矢先の闘病生活で、どんなにか哀しい思いをしているだろう、と思うのだが、脳の病気は本人の思いはそれほどに落ち込まないでいる。

悦子の目からみていて、もう少し早い段階でかなり厳しいリハビリをするべきであった、と後悔が残っている。

大病院では脳を手術することには長けているが、その後のリハビリテーションはまだ冗漫さが残っていた。

そこで大事に慎重に進めているうちに、牧子はのんびりとしていて楽であることに慣れてしまっていた。

長短ある日本のそれぞれの病院の態勢を改めて画一化する必要もあるのではないか、と考えていた。

向井にその話をしたら、一蹴された。
「先ず手術が成功することが先決。あとは患者のやる気だ。」

と ずばっと言われてひどく落ち込んだ日もあった。

こちらの思いを受け止める余裕が彼にはない。

余裕というよりは心がないのではないか・・と思われた。

笹島と向井は10歳以上の年齢さがあり、経験からくるもの、とも思われるが、笹島の10年前を想像してみても今の向井とは違う、ということが悦子には読めてしまった。

そんな揺れる思いをふと楽しんでいる気楽な今の立場が悦子はずっと続いてほしいと願っていた。

                              つづく
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Commented by nanako-729 at 2011-02-17 09:34
annさん、おはよう!
今週は毎日の更新ありがとうございます!
やっぱりお話の続きが気になって~~!

素敵な人でも結婚に向いているか…
これはとても大事なことですよね!
悦子さんの気持ちが揺れ動くのわかる気がします(^^ゞ
by akageno-ann | 2011-02-17 08:47 | 小説 | Trackback | Comments(1)