祈りそして LIVE 第4章 no.3 旅に出る
ニュージーランドのクライストチャーチの大地震によって被災された方たちへの
お見舞いを申します。
小説「かけがえのない日本の片隅から」第3部 LIVE 第4章
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LIVE 第4章 no.3 旅に出る
片山悦子は静かに旅の準備をして家を出た。
前夜、母親が少し餞別を渡してくれたことが嬉しかった。
「ゆっくりできるといいね・・病院から応援を言われることだってあるのでしょう?」
「大丈夫みたいよ・・今度は病院の上司から英気を養うように厳命されているから、要員に入ってないらしいの。こんなボーナスのような休暇は初めて・・」
「うちの方も心配しなさんな・・今まで牧子のことで本当によくやってくれてるのに、少しも貴方の体を心配しなかった母さんたちを許してね。」
そんな風に話す老いた母を見て、グッと胸に迫るものがあったが、心を鬼にして出かけることにした。
場所は結局学生時代によく行った山梨の小海線沿線の宿舎にした。
友人がペンションをしているので、そこで滞在させてもらうことにしていた。
平日は空いているようで、のんびり一緒に八ヶ岳の麓を散策しよう、と友人が歓迎してくれている。
高校時代にここに宿舎があり、彼女はすっかりここが気に入り、学生時代に出会った夫とここにペンションを建てたのだった。
こういう友人がいてくれて良かった、と悦子はほっとしていた。
いざ旅に出ようとしても、女一人で歩くことはやはりしんどいものがあった。
のんびりとリフレッシュするには、余計な気を遣わないでいい場所が必要だったのだ。
新宿から特急に乗って小淵沢に向かった。
久しぶりの電車の旅は風景を追っているだけで嬉しかった。
冬枯れの春を待つ様子さえ美しい光を放っているように思えた。
小海線に乗り換えるから、と言っていたのに、友人が買い物ついでに駅まで迎えに行く、と申し出てくれて、2時間ほどで目的地に着くことができた。
ここは八ヶ岳の懐に抱かれるような場所で、まだスキーのできる山もある。
ペンションのオーナー夫人、東(あずま)あつ子は高校時代の同級生だった。
つづく
by akageno-ann | 2011-02-24 23:29 | 小説 | Trackback | Comments(2)
英気を養う時間。。。大切ですね。
特に家族が病に倒れた時。
一番近くで看病する人というのは、肉体的・精神的疲労が
とても大きいのだろうと思います。
一人旅、いいですね(^^)
まさに英気を養う旅になりそうですね☆
特に家族が病に倒れた時。
一番近くで看病する人というのは、肉体的・精神的疲労が
とても大きいのだろうと思います。
一人旅、いいですね(^^)
まさに英気を養う旅になりそうですね☆
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