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LIVE 第4章 no.4  共感できる人と

ニュージーランドのクライストチャーチの大地震によって被災された方たちへの
お見舞いを申します。


小説「かけがえのない日本の片隅から」第3部 LIVE 第4章
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LIVE 第4章 no.4  共感できる人と

東あつ子とは高校二年生のときに同じクラスになり、席が隣になった時からの付き合いである。
身長もかなりの差があり、華やかなあつ子の雰囲気とは異なり、悦子は物静かにコツコツと努力する地味な生徒だった。

その好対照が良いのか、いつしか二人は周りからも親友同士という目で見守られていた。

喧嘩らしい喧嘩もせず、ここまでつかず離れず来たことが、より二人の気持ちを寄り添わせた。

二人で旅行をする、とか 一緒にショッピングや食事をするとかいう経験は殆どなく、
悦子は看護大学に進んで日々忙しく勉学に勤しんでいたが、あつ子は大学の文学部に進んで平凡に過ごしていたが、3年のときに出会った夫になる人とペンション経営という夢を共に持ってからは、それまでの彼女の生活とは全く違う活動的な人生を歩んできた。

あつ子は医学の看護士という仕事の大変さを『自分には無理』と思い、悦子はまた、『人をもてなす、しかも宿泊と食事の両方を家族だけで行うペンション経営はとてもできない』と尊敬していた。

時間もお金もかかったであろう、その小海線沿線のペンションはあつ子32歳のときに出来上がった。
厄年でもあり子供も生まれて、皆が心配したそのペンション経営は随分と困難なこともあったのだが、それまでの夫の会社勤めが功を奏し、会社の保養所としても使ってもらえるようになって、8年が経った今、細々とではあるが、着実にリピーターの客もできて、安定していた。

冬の寒い間は夏ほど忙しくなく、その間にあつ子は家の中のクラフトを全て手作りして過ごしていた。

互いにやっていることは違っても共感する心を持ち合わせた二人は出会った途端に打ち解けることができた。

「悦子は今日何が食べたい?貴方の好きなものを用意するわよ。その代わり買い物もつきあってね。」

「貴方の作ってくれるものは何でも美味しいし大好き・・お菓子もよろしくお願いします。」

「悦子はアップルパイが好きでしょ!?作ってあるわ・・アイスクリーム添えで・・」

悦子はその言葉に充分満足した。


地元のスーパーマーケットは小さなところだが、野菜など豊富で外国産の珍しいロマネスコとよばれるらしいブロッコリーのような洋野菜もあって、あまり食事つくりをしない、悦子はものめずらしいものばかりだ。

山の中でも肉はいろいろあって、野生のものも冷凍されてあった。

家路に向かう車の中でうとうととしてしまうほど、悦子は疲れていた。

安心したようなその寝顔にあつ子はなんとか悦子の再生をさせてあげたい気持ちにかられた。

結婚もせず、ひたすらに病を得た人々のために自分の人生を賭けている友人を幸せにしてあげたかった。

                                     つづく

by akageno-ann | 2011-02-25 23:48 | 小説 | Trackback | Comments(1)

Commented at 2011-02-26 07:51
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