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LIVE 第4章 no.5  本当の休息

ニュージーランドのクライストチャーチの大地震によって被災された方たちへの
お見舞いを申します。


小説「かけがえのない日本の片隅から」第3部 LIVE 第4章
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LIVE 第4章 no.5  本当の休息

山の空気は透き通っていた。

気温が低いせいで心地よい緊張感もある。

東 あつ子のペンションは満室でも20人というこじんまりとして、家庭的な料理を出すことで常客がついていた。

その日の客は一組だけで、老夫婦二人の静かな人々だった。

あつ子の母もこのペンションで様々な手伝いをしていたが、一番本領発揮するのは、こういう高齢の人々の相手だった。

昔から茶道 華道の師範として活動していたが、その格式に囚われることなく、菓子を作りその菓子にあった紅茶やコーヒーをこだわりをもって供していた。

スキーなどに出かける若者と違い、こういう夫妻は静かに屋内で過ごす。

暖炉に火を灯し、その周りで読書と音楽を楽しみ、その間にお茶の時間を共にする。

そんな時の母の語りは時に大人の心を童心に返すような楽しい語り部にもなるのだった。

無類の読書家でもあったせいか、彼女の引き出しは多い。

最近は小海線沿線にまつわる土地の昔話も随分と仕入れている。

特に都心から移り住み、ここで根を下ろした人々の歴史は彼女の一番の関心ごとだったので、丁寧に話すのだった。

悦子も午後のひと時を彼女の話を聞きながら、美味しい紅茶を飲ませてもらった。

紅茶の魅力も先日上司笹島との食事のときもある種のこだわりを知った悦子だったので

特に興味をもった。

和菓子に合う紅茶というのも茶葉に寄って異なると実際に3種類飲みわけをさせてくれた。

世界三大銘茶の一つキームンという中国茶のこともこのとき初めて知った悦子だった。

添えられた、トリュフチョコレートとの相性の良さにも心を和ませてもらえた。

もてなすというのは 大げさに用意をしなくても、その人のもつ話題や経験で心からもてなしを受けた、と思えることがある、と悦子は初めて知った。

あまりに病院の中での生活が多い悦子は心が偏っていることに気づかされるのだった。

                                    つづく

by akageno-ann | 2011-02-26 23:56 | 小説 | Trackback | Comments(3)

Commented by chanmie526 at 2011-02-27 09:04
まあ~~
さっそく「キームン」が登場ですね~
和菓子やチョコにぴったりでしょ?
英国でオリエンタルなお味だからと人気があるのも
わかっていただけました?
ミルクティーやアイスでいただいても美味しいですよ(*^。^*)
Commented by akageno-ann at 2011-02-27 09:30
ミンミン先生、素晴らしいレクチャーをありがとうございました。感動しております!
Commented by higeji-musume at 2011-02-27 22:50
ああ、こんなペンションに泊まりに行きたいです☆

私もこの小説を読みながら、
自分が体験しているように想像して癒されることにします(^^)
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