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LIVE 第4章 no.6  休息から得られるもの

ニュージーランドのクライストチャーチの大地震によって被災された方たちへの
お見舞いを申します。


小説「かけがえのない日本の片隅から」第3部 LIVE 第4章
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LIVE 第4章 no.6  休息から得られるもの

あつ子のペンションは夕食はダイニングに集まって食事するが、テーブルはそれぞれにかなりの距離をもって用意されるので、個人的な雰囲気は大切にされている。
しかしその夜、悦子は先に宿泊をしていたご夫妻のテーブルと一緒にされていた。

その前の午後のお茶の時間に 共に話をしていたので、夫妻の方から悦子を誘ってくれていたのだ。

悦子はこのオーナー夫人の友人であることを知り、また夫妻はこのペンションの常客であり、自然な流れだった。

あつ子は悦子の気持ちを大切にしたかったが、悦子も食事を賑やかにとる事を望んだ。

その夜の夕食のメニューは先ず、オードブルに白いんげん豆のマリネ、キノコのハーブソルトによるソテー 鹿肉のスモークハムの薄切りから始まった。

夫妻のオーダーした山梨の地ワインの白から相伴に預かった。

ゆっくりと料理についての何気ない会話で夕餉は進み、いつもの病院内での時間との戦いのような食事とはあまりに異なることをふと思ったが、そんな無粋なことを話題にする必要もないほどゆったりとしていた。

暖かい野菜のサラダは 先ほどあつ子が買ったロマネスコやポテト 人参 蕪などが可愛らしく盛り付けられて添えられた。

メインは虹鱒のアーモンドソテー・・これは悦子のオーダーだったが、夫妻もとても喜んだ。

かつて夫妻がヨーロッパのオーストリアを旅行した時に立ち寄ったツィンマー(ペンション)で出たものと同じだ、と懐かしい話をしてくれた。

「海外旅行はかなりなさっているのですか?」

悦子は聞いた。

「はい、仕事の関係で中東などに駐在してました。その休日はなんとか欧州に出たのですよ。
厳しい場所で日頃いると、ヨーロッパは本当に癒しの風景ばかりでした。そこに似ていますよ、ここは・・」

そんな会話が生まれるあつ子のペンションの夕餉は進んでいた。

                                       つづく

小夏庵も再開しました→☆

by akageno-ann | 2011-02-27 23:56 | 小説 | Trackback | Comments(0)

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