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LIVE 第4章 no.11  親しき中に嫉妬あり

かけがえのない日本の片隅から第三部

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LIVE 第4章 no.11  親しき中に嫉妬あり

あつ子は 悦子のせっかくの打ち明け話に興味を持っていたので、自我を抑えて聞き役に廻ることにしようと試みていたが、聞いているうちにどうしても心がかき乱されるのを抑えることができないでいた。

悦子の話は あつ子にしてみれば随分と若く幼く、甘ったるいものが感じられてしかたがない。

その向井という医師はそんな悦子を好きで、生涯を共にしたい・・と願っているのだから、何故もっと飛び込んでいくような感情になれないのだろうか・・と
そんなもどかしさで心が騒いだ。

「えっちゃんは、本当に好きになった人はいないの?」

そんなありきたりな質問しか投げかけられない自分にもいらいらするあつ子だった。

「この年まで・・そうね・・私は本当に恋焦がれる・・という思いがなかったのかもしれない。」

あっさりそう応える悦子は少し気の毒にさえなったが、あつ子は正直この自分の結婚生活に疲れているところもあった。

だが、恐らくそんな愚痴を言っても悦子は理解できないであろうと、あつ子は想像ができるのだった。

「子供のことを考えると今家庭をもたないとだめかもしれないわね・・」

悦子のその言葉に

「そうね、母親になる気持ちがあるのだったら、それは今の求婚をしっかり考えるべきだと思うな・・仕事だって続けられるんじゃないの?」

「私は不器用だから、両方は無理だと思うし・・」

「何言ってるの・・両方を頑張っている同僚がいっぱいいるでしょう・・」

「その人たちを見ていて、その選択の仕方を真似できないと思うのよ。」

あつ子はかなり苛立った・・

「そこが絵空事と現実の違いだわ。もっと温かい目でそういう頑張っている同僚をみてあげないといけないと思うな。」

そのとき初めて少しはっとしたような悦子が振り向いた。

「あっちゃん・・私考え方甘い?」

あつ子お素直に 頷いて

「現実ってその場にたってみないとわからないよ・・病気もそうだと思うけどケース バイ ケースでしょ・・」

歩きながら二人は顔を見合わせていなかった分、正直な会話ができていたのかもしれない。

気温はそれなりに上昇していて、長く歩いていると少し汗ばむようだった。
白樺の木々に囲まれた細い道を歩いていると、ふっと大きな空間に出くわして、そこに白樺で作られたベンチに二人は腰をおろした。

「えっちゃん、ここでコーヒーを飲もうよ・・」

その声かけに悦子もほっとして一緒に腰を下ろした。

                                 つづく

by akageno-ann | 2011-03-06 12:48 | 小説 | Trackback | Comments(3)

Commented at 2011-03-06 22:14
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2011-03-07 19:12
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Commented at 2011-03-08 20:02 x
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