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LIVE 第4章 no.13  アラフォーの恋

かけがえのない日本の片隅から第三部

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LIVE 第4章 no.13  アラフォーの恋

「その向井さんはお医者さんなんでしょ?ずっと大学病院なの?」

あつ子は悦子の恋を遠巻きに分析しようとしていたのかもしれなかった。

「そうよ・・今は開業医はよほど実家がしっかりとした医院でないと、なかなか無理な時代なの。彼も医者の一家ではなく、たたき上げだから、恐らく救急救命医としてやっていくと思うの。」

「救急救命というのはかなり重労働なんでしょ?テレビで最近良く話題になってるわね。」

「そうなの、厳しい世界なのよ。本当は私もこうして休暇を一週間とるなんてありえないのだけれど、今回は私がちょっといッパイいっぱいになっている様子に上司からリフレッシュを言い渡されたような休暇なの。」

そういう悦子の言葉に、あつ子は少なからず彼女の人生に嫉妬したことを恥じていた。

「仕事場にはもちろん恋愛感情はご法度なんでしょうねえ。」

そんな言いにくそうに語るあつ子に微笑んで、悦子は

「ご法度ではないけど、色目を使うようなことは確かにできないわ。
ああいう緊張感のある場所に、そういう感情を持ち込んだら不思議に目だってしまうの。」

「仕事を続けるって大変なことなのね。それで悦子はどうするの?結婚だって考えることがあるのでしょう?」

「もちろんあります。でも先が読めないの。」

そう言って寂しそうに笑う悦子も既に40代に入り、人生の後半を歩み始めていた。

厳しい仕事を天職と考え始めている悦子は家庭を持つ事に不安の方が大きかったのだ。

                                     つづく

by akageno-ann | 2011-03-10 23:07 | 小説 | Trackback | Comments(0)

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