かけがえのない日本の片隅から 第4章 LIVE 最終回
ここまで途切れ途切れの小説を読んでくださり誠にありがとうございました。
「かけがえのない日本の片隅から」のメッセージは私のライフワークです。
その中の第4章 LIVEの最終回です。ご高覧に感謝します。
かけがえのない日本の片隅から 最終回
片山悦子は1週間という休暇を学生時代からの親友 あつ子のペンションでゆっくりと過ごすことができた。
向井医師からの若々しい求婚も 悦子がほのかに思い続ける笹島医師への恋心も八ヶ岳の麓では全てロマンティックで浮き立った気持ちに浸ることができた。
特に年上の笹島は決して悦子を求めるのではなくて、あくまでも優秀なスタッフとしての悦子を求めていることを彼女は一番わかっていたし、それが嬉しいものであった。
そんな気持ちを一人楽しもうとしているときに、向井からは彼の求婚の応えを迫られるメールを送られて、悦子はかなりくさっていた。
だが、姉の牧子が半身不随の生活を余儀なくされるような大病を患ってから。まるで自分の分身を見るように寄り添ってすごしてきた悦子は、その現在の生活を変化させることはできない、と思えた。
自分は看護士としても極めて充実した仕事を続けてきた。
その生活にさほどかけ離れていない実姉の介護リハビリ生活を手助けするのも運命的だ、と受け止めていた。
家族のために、そして仕事仲間とは仕事を絆としてつながっていける幸せを大切にすることにした。
可愛がっていた、姉の娘は母親の看病をしながらも着実に音楽の道を究めようとしていた。
父親とその家族の愛情をしっかりと受け止めながら、ふと母のことを忘れてしまいそうになることに苦しんだこともあったようだが、若者らしく合理的に生きている姿に、悦子はもうあまり余計なお節介は必要ないと感じていた。
人は今ある境遇の中にあって、さらにそこでも進化している。
マンネリという言葉ですぐに総括することなく、きっと何かをそこで見出し、マイナスをプラスに変えていくという力を有している。
悦子もまた、結婚という終結だけでなく、仕事をしつくして過ぎていく人生の果てには、恐らくそこに自分らしい癒しの園がある、と信じることができてきていた。
一週間の休暇をもらい、元気に翌日から仕事に戻りたいと思った彼女の思いは医局の仲間たちにたくさんの土産を持って感謝の思いを伝えたい、と心から思いながら中央線の特急に乗った。
久しぶりに車窓からの風景を楽しみ、次はいつになるかわからない・・と 一人充足感を味わっていることが心地よかった。
了
次回からは アンのように生きるインドにて・・改訂版を連載させていただきます
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小夏庵にも→☆
by akageno-ann | 2011-04-03 23:25 | 小説 | Trackback | Comments(1)
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at 2011-04-04 01:39
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