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再録 アンのように生きるインドにて デリーへの道 その4

少々時間があいてしまいました。こちらに訪問してくださり申し訳ありません。
また続けさせていただきます。

アンのように生きる インドにて

デリーへの道 その4


空港のすぐ外で待ち受ける人々の群れ・・その中に一列横に広がるように5~6人の日本人男性たちが、これはもう本当に日本人の笑顔!!という明るい顔で手を振ってくれていた。

現地日本人学校の先輩教員たちだった。
女性のインド人スタッフもいて、美しい山吹色のマリーゴールドで作られたレイを新参者一人ひとりにかけてくれた。平田よう子は、ちょっと怯えて、抱いている娘の明子をしっかり抱きなおし、そのレイは夫の久雄が受け取っていた。

よう子はますますの緊張感があるのだ、と美沙は感じていてが、彼女は相変わらずの笑顔を振りまくことに専念している。

「ようこそ、デリーへ。お疲れさまです、お待ちしていました。」

出迎えの日本人のその力強い言葉に『待っていてくれた、』という感動が伝わってきて、

『この初心を支えにしよう』 と平田久雄は強く感じていた。

美沙もまた、

[マダム、こちらへ]

というインド人スタッフの言葉にいい知れぬ感動を覚えていた。

この日から、3年間はまぎれもなく、インドに住む日本人マダムであった。

中型の日本製のバスは、日本人学校のスクールバスで、毎年この時期は任期を終えた家族を送るときと、こうして新任の一家を迎えるときにに一台ずつあてがわれることになっていた。

初対面の簡単な挨拶を インド人の烏合の衆のギラギラと闇夜に光る目に驚きながら、交わして三家族はここでばらばらにバスに乗り込む。

このときから三年間、三家族は様々に変化しつつ、また重い荷物を自ら運ぶことなどほぼなくなることに、まだだれも気付いていず、されるがままについていく美沙たちだった。

インド人の群れは全てが迎えの人々ではないのだ。
その人々の群れがどういう目的なのかもこれからわかるのかもしれないと、美沙も他の者たちも口にはしなかった。

空港はさすがに煌々と明かりがついていたが、車が長い空港へのアプローチである道路を抜けると、すぐ、そこは予想通り、いや予想以上の暗黒の世界だった。

灯り一つなく、バスが照らすヘッドライトの光だけで走っている、かなりのスピードで。
その光に映し出される家らしい陰も静まり返り、かなりみすぼらしいものが点在していた。
眠いはずだが、バスから外を食い入るように見る片山夫妻の目は爛々としていた。

                                    つづく

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小夏庵にも→☆

by akageno-ann | 2011-04-24 18:03 | 小説 | Trackback | Comments(1)

Commented by CHIL at 2011-04-25 13:32 x
日本人からすると、
インドの方の目にはとてもインパクトがありますよね。
インドに行ったことはない私ですが、
闇夜に光る目に、ここはインドという印象がとてもよく伝わってきました。
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