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熱い夏をいかにこえるか・・

5月に本格的な暑さを迎えるデリーは半ば過ぎにはついに48度まで体験した。

日本人学校には日本同様百葉箱があり、そこに50度まで計れる日本製の温度計があった。
殆ど機能していないのでは・・・との危惧もあり、従来の人々は見ることはなかったが、平田久雄と片山翔一郎の新入り二人は酷暑を感じた昼間に・・日陰を選んでゆっくり壁伝いにそこまで言って、中の温度を確認した。その時メモリは48度を示していたという。

見たとたん・・・その場で眩暈を覚えた・・・と二人はその日一緒に片山家でスクールバスを降りて、その話題で一杯のビールを実に美味しそうに飲んだ。

「平田先生、よかったら一緒に食事しませんか?奥様とめい子ちゃんも呼びましょう。」そう翔一郎が誘い、美沙も同意した。

「いやあ、もう準備して待ってるでしょうし、ぼくはリキシャを使って帰ります。
よかった、これで気分転換できました。」

そういって平田久雄は片山家を辞した。ほんの20分の彼の休憩だった。

「奥様、まだあまり外出しないものね。先生気をつかっているのね。」

「そうだな・・あの人は本当に立派だよ。暑いとか、大変とか殆ど口にしないからね。子供たちにも優しく接しているし、すごくいい教員だよ。」

彼がオートリキシャという二人乗りの三輪タクシーみたいな乗り物にのって家路に急ぐをの見送りながらそう平田久雄を評した。

10分もたっただろうか? 電話がなった。

「平田です。ただ今はありがとう。実は今お宅に寄らせていただいて食事を誘ってくれた話を家内にしたら、是非一緒にしたい、と言い出して、よかったら我家へ来ませんか?」という誘いだった。

翔一郎の電話の受け答えを傍できいていた美沙はにこやかにOKサインを出していた。

大したものではないが、その日ご飯を炊いていたし、冷凍の烏賊を買ったので、細いが一応大根らしいものもあり、いか大根を煮つけていた。

醤油はまだ船便が届くまで大事に使っていたが、赴任のとき持ち込んだ日本酒も少しいれて丁寧に似てあったから、美味しくできあがっていた。

サーバントのローズに言って、買い置きの鶏肉で急いでから揚げを揚げさせた。

揚げ物は暑くても少しも嫌がらずに揚げてくれるローズを感心して美沙はみていた。

大蒜と生姜はカレー料理に欠かせないので、ローズはいつも買っておいてくれていた。

その日、鶏肉にそれらをすりおろしてまぶしておくことを教えると、ローズは珍しそうに、そして嬉しそうに覚えていた。

電話から20分ほどで、二人はオートリキシャにのって5分ほどの平田家に向かった。
住宅街の往来は比較的静かで、本道に近いところに行くとその便利なのりものはすぐに拾えたのだ。

平田家は、大きな3階建ての1階のフロアーを庭付きで、借りていた。古いが感じのいい家のつくりだった。玄関の呼び鈴をおすと、先ほどの平田久雄が短パンTシャツ姿で出迎えてくれた。

中から小さな明子(めいこ)ちゃんが大喜びで飛びついてきた。

日本人に飢えている、と感じられ、思わず美沙は抱きしめて、そのあと翔一郎がひょい、と

肩車にしたら。「キャッキャッ」とはしゃいで、喜んだ。


そのことが、よう子にはとても嬉しかったようで、その日改めて片山夫妻は平田夫妻と親交を深めていった。


                                     つづく

追記
 
 今年の日本の夏は酷暑でないことを願います。
 昨年の夏の暑さがかなりの厳しさだったのを思いだしています。

 クールビズ・・などと気楽なことばでなく・・インドの暑さ対策を学び返しています。

この小説は2007年から1年間掲載したものを再録しています。

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小夏庵にも→☆

by akageno-ann | 2011-06-06 12:45 | 小説 | Trackback | Comments(0)

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