くちなしの思い出
散歩中に・・くちなしの花は突然に香り、その高貴な白い花を見ゼてくれる。
初めてこの花を手にしたのは大学一年の6月 入部したばかりの混声合唱団で
定期演奏会があり、「私の願い」という組曲を歌ったときのこと・・
聴きに来てくれたクラスメイトがこのくちなしの花の花束をプレゼントしてくれたのだった。
彼女は静かな読書家で、教師にはなるけれど 結婚したら退職して良い主婦になる・・と
話していた。だが彼女は小学校校長になって定年退職まで立派に勤めた。
彼女はすこし年上だったせいかいろいろと私たちの面倒をみてくれて・・
当時フランス語に夢中だった私にパリに留学中の友人を紹介してくれたことがあった。
ソルボンヌ大学在学中のその人と、日本語と仏語の文通をしてもらって・・楽しい時間を過ごした。

作家の芹沢光冶朗氏の「パリに死す」と「人間の運命」大きく影響を受けていたので・・
フランスに留学したかった。
だが・・どうも努力が足りず、一年に一人だけソルボンヌに交換留学させてくれる在学大学の制度を知っていたが・・Kさんという・・素敵な同期生がパリに旅立ったことを鮮烈に思い出す。
しかしなんというか友人と応募したクイズに友人が当たって・・私も半額でお供できることになったのは4年生の4月のことだった。
もう新学期が始まるので・・どうしようか?悩んだが・・有難いことにゼミの担当教授が・・千載一遇の機会というのはこういうことをいうのだよ・・と 便宜を図ってくださって私は友人とパリに飛んだ。
羽田からのエールフランス機は雨の中の出発で 母が心配そうに見送ってくれたことを思い出す。
その教授も今は名誉教授になられ研究の日々を静かに過ごしていらっしゃる方だが・・
学生の為に熱血漢のようなご指導をくださる方で 結婚式のスピーチも学生時代の私をよく言い当ててくださった。
「まことに世話好きのゼミ員で・・勉学よりも旅行などの企画をよくやってくれた・・」
など・・本当にじっとしていない私だったな・・とおかしくなる。
先日「舟を編む」という辞書編集者たちの本を映画化した作品を見たが・・懐かしかった。
私たちのゼミは 能楽研究の主要な本の索引制作をしていた。
あの大変な辞書作成の作業は後輩に優秀な人がいたので任せ・・私はもっぱらゼミの合宿場所や研究旅行の企画ばかりやっていた・・
あの頃行った奈良の柳生街道の能面探究の旅はなかなか素晴らしいものだった・・
こんなブログがあったらきっといい作品ができたであろうに・・と記憶を辿っている。
くちなしの強い花の香りから大学時代を思い出してしまった・・・

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by akageno-ann | 2014-06-17 12:38 | エッセ- | Trackback | Comments(0)