神を頼りて
父は俳句を作るのだが、最近は生きている縁を神に頼りて・・という言葉をよく使っている。
ふと季語がないな・・と感じることもあるが、父の想いがそのままあるので 後に句集にしてあげようと
思っている。
最近アルツハイマー性の認知症を発症していると医師から告げられたが 日常生活は大丈夫なので
よく寄り添っていかねば・・と家族で考えている。
最初に気づいたのは半年ほど前で パジャマからの着替えを二度三度考えながらしている
父に驚いた朝だった。
気丈なのでよくぶつかっていたが、その朝は言葉も出なくて・・ただ
「お父さん、さっき着替えていたのにまた寝るの?」と聞くと
「いや・・いろいろ考えるところがあってね」と応えた
そうそのいろいろ考えることがあって・・と言う言葉が多くなったのは先に認知症を発症した
母の介護を熱心に父がしていたからだと 思っていた。
母が腸閉塞で吐いた日に 父はご近所の若い奥様方に助けられて 救急車を呼んだ。
こちらにもすぐに連絡があったが、病院までは父一人で母に付き添った。
気丈な父でもとてもパニックになっていた・・
そのパニックが次第に父の脳を疲れさせていたのだと思う。
足取りもしっかりしているので一見して元気な父と皆からも思われているのだが、
しっかりと生きているという姿を保つ父はそれだけでもずいぶんと疲れているのだった。
そのころから落し物 亡くしものが多くなった。
それでもその亡くしものが出てくるから父はいつも丁寧に拝んでいる神様のお蔭だと
思っている・・それが大きな支えなのだ。
今月の一日に主人も一緒に近くの氏神様にお参りに行った・・
母は車にいるというので私は母に付き添い・・主人が父に付き添ってお参りした。
食事していい日だったという父の家を辞して帰宅の途にあって
主人が「お父さんさすがだね お賽銭一万円だったよ」というので
私は「え?まさかそれ間違えじゃない!?」というと
主人もしまったと思ったらしいが・・「まあお父さんならそのくらいされるかと思って」と
いうので後日父に話すと 「え?千円札のつもりだった」という
しかし妹も神様にだから・・いいわよ・・という
私は 「でもねお父さん・・神様はおつりはくださらないから・・・今度は間違えないでね」
と念を押すような娘である・・
父はそれでも主人が止めなかったことをとても喜んでいた・・
付き添ったのが主人で良かったと思っている・・

仁淀川の川辺に射す天からの光が
暖かかった・・
by akageno-ann | 2018-12-05 21:38 | 老育 | Trackback | Comments(1)