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菊池寛  父帰る

思い出の数々が頭を過る・・
高校生の時 母と私には「菊池 寛」という合言葉があった。
父の帰宅は夜9時過ぎのことが多く、それまでの時間が比較的母と娘二人の
自由な時間だった。

高校からの帰りが6時過ぎで食事を三人で済ませ、それから勉強時間なのだが
8時頃によく友人と電話で話をした。
当時はまだ一通話10円だったせいか、気楽に電話していた。
母は寛容だったが、父は子供が電話を占領していることには批判的だったのだ。

話に熱中して父の帰還に出迎えられないとかなり機嫌が悪くなるので母は
「菊池 寛」と言って、私を玄関先に促した・・

そう「父帰る」の作品名にかけていたのだ・・

そんなことを思い出したのは 昨日の父は1カ月ぶりにかなり甦ってくれた。
その前に妹が行ってくれていて、「お父さん話ができるようになっている」
と電話があり・・それまでのしんどそうな父の様子から随分回復したのだと
期待していたが・・期待以上だった・・

母の写真を見せると父は手で顔を覆って泣かれた・・
私も言葉に詰まったが、泣かずに「お父さん・・お母さん頑張ってるから・・」
そういうと・・そうかそういう話がいちばんいい・・と応えてくれた。

あまり興奮はさせない方がいいとのことなので・・短時間の面会だが
いつものように「気をつけて・・」と人を気遣う言葉が出て・・

安堵した・・しかもからだをよじるようにしていたのに昨日の父は
普通に椅子に座って穏やかな表情をしていた。
思わず写真を撮らせてもらって 親族にラインで送り 母にも見せた

母は「お父さんやせたね・・」と言ったが・・
少し家に帰りたがっていた母が「私もここでもう少し頑張る・・」と言ってくれた。

プロの介護士さんがおっしゃるとおり・・慣れるのに2週間はかかる・・とは
実に正解で・・自分の居場所としての納得にはそれだけの経過が必要なようだった。

私は姑息な手段を使って・・一週間くらい?と母に尋ねられると「そうそう」と
いい加減に答えたが、それはいけないことだった・・

母の中に一週間はしっかりと期間として刻まれ・・むしろきちんとしたここでの
長期にわたる生活のことを少しずつ理解してもらうことが必要だった・・

「父帰る・・」そんな合言葉を母は覚えているだろうか?
明日はそんな話をしながら 父の甦りを喜びたいと思う・・
菊池寛  父帰る_c0155326_22203563.jpg

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by akageno-ann | 2019-04-14 22:18 | 老育 | Trackback | Comments(2)

Commented by nanako-729 at 2019-04-15 08:01
annさん、おはようございます!
お父様の病状が少し回復してほんとによかった。
お話を聞き、こちらまでウルときてしまいました。

お母さまも新しい生活に慣れお気持ちが
落ち着いてきたのですね。

ほんとに良かった。
Commented at 2019-04-16 14:32
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