人気ブログランキング | 話題のタグを見る

恩師を偲んで


にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ
恩師中村格先生の訃報を奥様から
いただきました。

昨年までお元気でいらしたのですが、
急逝されたそうです。



恩師を偲んで_c0155326_08385604.jpg
中村先生の随筆集『遅々庵ずいひつ』


東京学芸大学で4年間クラス担任を
してくださいました。

当時助教授でいらっしゃいましたが
中世文学の能と狂言の研究をされていました。

クラス担任としても気さくで熱心な指導を
してくださいました。




恩師を偲んで_c0155326_08390274.jpg

私と何人かの学生が、学内に潜り込んでいた者に
今で言うストーカーに遭い相談したところ

日曜日だったがすぐに自宅に来るように
言ってくださり、事情を聞いて対処してくださいました。

その時にお邪魔したお宅の茶室が素敵で
奥様が抹茶を点ててくださったことが
懐かしく甦りました。

事件は未然に防ぐことが出来て
今更に恩師の暖かい心を感じます。
ちょうど半世紀前のことです。



恩師を偲んで_c0155326_08390769.jpg
暑さに負けずに花芽をつけてくれた
皇帝ダリア


中村先生はその後も多くの学生を指導されて
その熱心なご指導を受けた教え子たちに長く慕われる方です。

私も拙い本を送らせていただいたりして
そのたびにお電話で感想を話してくださったり
忘れられない恩師です。

心よりご冥福を祈りつつこれからも先生との
想い出を大切にして参りたく思います。

94才の天寿全うでいらっしゃいました。


恩師を偲んで_c0155326_15584881.jpg
歌もお好きで奥様を大切にされて
素敵な人生をお過ごしでした。
あちらで一足先に逝った我が父と会っていて
いただきたいです。







中村格先生には細く長くご指導いただいていた、と
改めて思います。
大学のクラス担任の先生がとても学生思いでいらして
ストーカーまがいのことに私が遭ったことを
大変遺憾で、申し訳ない、と父に謝罪のお電話を
くださったことがあったことも、突然思い出しました。

両親が大変恐縮して以来信頼をさらに寄せて
結婚式までいらしていただいたのです。

新卒の頃は学級通信を送らせていただいたりして
『吹き出してしまうような内容が楽しい。
ただ文体は揃えるようにね。』と
丁寧なお便りをいただいたり
本当に今思いだしても素晴らしい恩師でした。

家族思いでもいらして、ご家庭のことも
ゼミなどで楽しくお話し聞かせてくださり、
奥様との京都での出逢いも素敵で忘れられません。

昨年一度お電話でお話したことがありました。

しっかりしたお声でした。

そういえば授業で『平家物語』を
語り部のように暗誦してくださったことも
忘れられません。

想い出はつきず、そういう先生の教え子は
たくさんいらっしゃいます。

心から御礼を申し上げ ご冥福をお祈りいたします。


by akageno-ann | 2023-11-09 10:35 | エッセ- | Trackback