未来は霧の中に
パリオリンピックが始まってから
ユーミンのアルバムOLIVEに収められている
♪未来は霧の中に♪をずっと口ずさんでいます
伝説の並木通り
古い雑誌をめくれば
カルダン et クレージュ
宇宙服 流行りし頃
科学も夢を見てた
科学も夢を見てた
東京のまちはオリンピックひかえ
まるで絵のように時が過ぎた
私は9つ 覚えているのは
まだ 未来が霧の中
ある日目覚めるとテレビジョンには
月を歩いてる飛行士がいた
私は13 初恋失くして
もう 恋はみんな同じ
そのうち誰かが火星に降りても
もう 愕かないでしょう♪♪
松任谷由実 作詞
同世代の私もオリンピックは9つでした
そして齢70の今も 未来は霧の中
恋は決して同じではないですね
その4
美沙は、かつて見た古い洋画「レベッカ」の一場面にある
全てのリネンにレベッカのイニシャルRが刺繍されていたのを
見て幼い頃から刺繍に憧れていた。
「レベッカ」はアルフレッドヒチコック監督の渡米第1作であり、
英国作家ダフネ・デュ・モーリアの原作を元に英国の古い格式の
中でのロマンティックなミステリーを創作したという。
名優ローレンスオリビエの冷徹な雰囲気の紳士と、
その後妻となる美しい女性役のジョーン・フォンティーンの
不安に怯える目が印象的な映画だった。
その頃から手芸の中では特に刺繍をよくした美沙は、
結婚の為に夫婦のリネンにイニシャルを刺繍したが、
一人娘理子が生まれたときは、ことさらに幸せな思いで
Rのイニシャルを幼子の衣装に美しい金糸を使って丁寧に刺繍した。
しかし、最近は手芸をする時間をもつことなど到底
思い浮かべない日々であった。
夫のためにも少しはそういう手作業を入れていくほうが、
と思っても、心はいつも夫の病のことで全て占領されていて、
なかなか針と糸を持とうとは思わなかった。
だが、この家に懐かしい子供 平田メイ子が同居することになって、
メイ子へのウエルカムの気持ちを久しぶりに彼女の部屋の
インテリアとして刺繍をしようと思ったのだった。
メイ子がまるで『赤毛のアン』のようにここにやってくるような
気がしていたので、美沙はアンの肖像を自己流にデザインして刺繍し、
小さな額入りにして壁に飾ることにした。
一針一針刺し進めていくと、楽しさと優しさが心を占めて、
忘れていた美沙の中の創作する心が湧き上がってきていた。
つづきます
※暑さの中でレース編みをしようとしても
少しも進まないのは年のせいもあると感じます※
by akageno-ann | 2024-08-04 18:26 | エッセ- | Trackback