パリの空の下 セーヌは流れる
その8
翔一郎はメイ子の家族のような存在をとても喜んでいるように見えた。
娘が二人になったように、きちんと理子にも気を配りつつ、
メイ子を心の中に自然に受け入れている様子が
家のなかに明るい空気として漂うのをそれぞれが感じていた。
メイ子は理子を一番に気遣い、たくさんの会話をしていた。
多感な年齢の理子に不安な思いを抱かせないようにの気遣いだった。
それはとても運命的で、まるで随分昔から一緒に過ごしている
姉妹のような二人がそこにいた。
どんな気遣いよりも、この二人の出会いは翔一郎の病が
大きなきっかけになっていることが残念にも事実であった。
人との出会いはやはり大なり小なり運命の力によって
引き寄せられるのではないか、と美沙は思った。
こうして共に過ごすことを自然に許していった自分はやはり
「アン」の存在が心にあったからだとも思えた。
一冊の有名な本によってつながれる思いというのは時空をも
超えられるのかもしれなかった。
大きな病気や事件が起こった家庭には何か別の空気を入れる必要がある。
それも大きな愛情をもった空気が・・・・・。
片山家は新しい気持ちをもって進んで行こうとしている。
一つ一つの出逢いや事象を大切にしながら。
次は第九章に入ります
※題名は「アンと共に生きて」にいたします
これからもよろしくお願いいたします。
この暑さはさすがに異常だと感じます
早朝からの気温の高さ、デリー時代を彷彿とさせられます。
by akageno-ann | 2024-08-13 08:08 | エッセ- | Trackback