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かけがえのない日本の小説




大和には群山あれど
とりよろふ 天の香具山
登り立ち国見をすれば

国原は煙たちたつ
海原はかまめたちたつ

うまし国ぞ あきつしま
大和の国は

舒明天皇 万葉集より


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新米は確実に出て来て
この季節になると食いしん坊の私は
この歌を思い出します。

「光る君へ」を見ていて
紀貫之 清少納言 紫式部の
時代考察をしてしまいます。

大長編小説「源氏物語を」
手作りで冊子にして帝に献上する
と、いうくだりで

この当時の本を皆に読んでもらう
と、いうことの如何に大変なことか

考えさせられます。



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災害のない年はない、と
いう昨今、毎年同じ花を
同じ場所で見ることができる

と、いうことがとても有り難いことと
感じています。



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「仁淀川に帰す」という小説を
始めました。その8です。

お時間ありましたらmoreへ








 その8 母 都遊子

 四国から上京していた都遊子の祖父が、初孫の誕生を知って

「ツユコ二セヨ」と 電報で知らせて来たのだという。

この漢字を知らせるには電報では難しかろう・・・・・。

孝之は本当かな?といぶかしく思っていた。


本当は「露子」と周囲は思って届けたが 急ぎ帰郷した祖父は

断固この字を主張したので母は楽しんで都遊子を名乗っていた。

しかし母は 露のように儚く40才で亡くなってしまった。



孝之 満夫が無事に村の祖父母の家に帰り着いて、休む間もなく

隣家の叔父について孝之は舞鶴の母を迎えに行くことになった。

叔父と一緒の旅は心強く気楽であったが、母の容体は心配だった。

病院を退院しても母は歩くことができず、叔父が背負って憔悴した

父伸之と荷物を抱えての旅路だった。


高知駅に着くと 母都遊子は 駅周辺の様子を、またバスに乗り込むと

窓から食い入るように見つめていた。

隣村の病院にすぐに入院させて父伸之の付きっ切りの看病が始まった。


それから一ヶ月後の8月、折から台風の通過するその日

父伸之が今後の仕事を得るために役場に行かねばならない日

代わりに孝之が母についていた


眠っていたかと思っていた母は突然「かあさん、かあさん」と

叫び目を見開いてそのまま息絶えてしまったのだった。


あとで思い返してもその日、孝之に排尿の訴えも何も一つもしなかったのだった。

夫である伸之には一緒にいてほしい、と それまで我が儘を言わなかった

母は願い、伸之もそれに従っていた。


そして母はそのまま逝ってしまった。その晩孝之は一人で病院の霊安室で通夜をし

父の帰りを待った。


                          つづく




by akageno-ann | 2024-09-30 13:18 | エッセ- | Trackback